小宮 そうです。子どもを狙う犯罪者は大変研究熱心で、それまでにもいろんな子どもに声を掛けてきて、失敗したら同じミスをしないようまた新たな手を講じるということを繰り返してきているはずです。そして犯罪に至るときには、非常にレベルの高いだまし方を身に付けているので、子どもはとても太刀打ちできません

 むしろ、相手の言葉巧みな話術に喜んでついていってしまうケースが多いのです。防犯ブザーを持たせたり、危ないときは大声を出そうと言い聞かせたりしていても、そもそもそんなことは役に立たないのです。

hitomi そうなんですか! うちの子、甘い言葉に弱いところがあるから大丈夫かな……。

小宮 日本では学校や社会が子どもの防犯対策について間違った認識をしてきたと思っています。突然、襲われるケースよりも、まずは声を掛けられて、そこから離れた場所へ連れていかれて犯罪が起きるのがよくある手口なのに、その場で襲われることばかりを想定しているんです。

人はだましても、景色はだまさない

hitomi 先生、それでは危険な目に遭わないためには、子ども達に何に気を付けるよう伝えたらいいんでしょうか?

小宮 私は、危険かどうかを見分けるためには「人」ではなく、「景色」を見なさいと常々言っています。人はだますけれども、景色はだましませんから。hitomiさんは先ほど、「街を歩くときは危ない場所を避ける」とおっしゃっていましたね。「景色」を見て何となく危険を感じるというのは、防犯対策の上ではとてもいいポイントなんです。

hitomi 昔から自然にやってきたことなので、それが自分の身を守るうえでよいことだとは知りませんでした。では、危険な場所を見分けるためには、具体的にどういう「景色」に注意すればいいんでしょうか?