世界のスーパーママを紹介するこの連載、第4回はイタリアのリチア・ロンズーリ議員です。欧州連合(EU)の議会組織として日常的なEUの政策運営を監視し、予算に関する権限や立法権限を持つ「欧州議会」に2009年、初当選を果たしたエリートキャリアウーマン。その本会議に2010年、生後間もない娘とともに出席し、その様子が世界中で大きなニュースとなりました。批判の声も何のその、議会への子連れ出勤を今も続けています。こうした彼女のスタイルには賛否両論あるようですが、国会議員という立場から身をもって女性の権利向上を訴える姿に勇気を得て、ワーキングマザーの支援制度を変えようという動きも出てきています。

 イタリアの美人議員が欧州議会に生後6~7週間の娘を抱っこして参加――。欧州議会の議席で、母親の抱っこひもに包まれ、すやすやと赤ちゃんが眠っている。

 心がなごむような光景かと思われそうだが、この写真を見た人達から、当初は厳しい意見が相次いだ。「不謹慎だ」「議会は子どもの遊び場ではない」。こんな批判が続出し、物議をかもしたのだ。このニュースは北米大陸からアジアまで世界中に広がり、メディアの取材が殺到する結果となった。

議席に座るリチアと日を追うごとに成長しているヴィットリアちゃん(写真:ロイター/アフロ)
議席に座るリチアと日を追うごとに成長しているヴィットリアちゃん(写真:ロイター/アフロ)

無関心だったメディアが急に……

 その母親とは、イタリア自由国民党に所属するリチア・ロンズーリ議員。当時、英有力紙「ガーディアン」(2010年9月)のインタビューにこう答えていた。

 「欧州議会で子育てに関する問題に数多く取り組んできたのに、メディアは無関心だった。なのに私が職場に赤ちゃんを連れてきたら、こぞって私の話を聞きたいというのだから、変な感じね