「4月には育休から復帰する部下がいる」
「時短勤務の社員が増えてきた」
「どうやら頼れるアイツが育休を取りたいと思っているらしい」
「子どもが小学生に上がり、残業ができなくなった社員がいる」
「うちも、隣の部署も、子育て社員がいて常に欠員のチームだ」
常に、マイナス1でチームを回さなくてはならない、そんな職場が増えています。 欠員の補充はないまま、結果を出し続けなければならないなんて…。
そんな欠員チームが力を最大に発揮できるようにするためには、「イクボス式」というマネジメント術が必要です。
制約社員の増加によって、上司は部下に仕事を振る際の意識転換を求められています。様々な理由で退社時間のリミットがある部下を抱える状況で、日々の業務を回すためにどんな視点を身につけていくべきか。
例えば、こんなボスはダメボス!
夕方17時、悪気なく、翌朝までの仕事を振って部下を困らせるボス。不明確な指示出しは部下の時間を奪います。
では、実際にどんな風に仕事をアサインしていけばいいのか。リアルな例題に沿って、考えていきましょう。
あなたは誰に残業をお願いする?
【例題】あなたは4人の部下を持つ課長です。残業削減の活動が功を奏して課内での定時退社がやっと定着してきました。そんなある日、定時5分前になって、部長から緊急の仕事が舞い込みます。締め切りは本日中ですが、難易度はそれほど高くなく、2人対応できれば完結できるとあなたは判断しました。そこで、残業を指示する2人をすぐに選ばなければなりません。 あなたは部下の仕事ぶりについて日ごろからよく見ています。4人の部下の「能力レベル」の情報はすでにあります。
この情報がある段階で、誰に残業を頼みたくなるでしょうか? 浮かんだ回答を覚えておいてください。では、ここで「制約条件」、つまりそれぞれの部下の当日の定時後の予定についての情報を追加します。
情報②も加味しての判断となるといかがでしょうか? 傾向としては、この段階でAとCは選択肢からなくなり、BとDが有力候補として浮上するケースが多いようです。さらに情報を追加しましょう。それぞれの制約条件に関する補足・詳細の情報です。
いかがでしょうか? ①②の情報で判断した結論とは違う結論になりませんでしたか? 重要な気づきとして、4人の部下の能力は変わっておらず、変わったのは情報だけ。しかも、その情報は仕事以外の情報です。仕事以外の情報を把握することは仕事の指示をする上でも大切だと思いませんか?
「定時前に突然発生した仕事をやり遂げなければならない」という職場の課題解決のためには、個々の部下が抱える条件をできるだけ正確に把握しておくことがポイントになります。情報不足のまま業務命令を出せば、部下の生活全般に無理が生じて、仕事に対するモチベーションも低下。チームが目標達成を目指す上で大きな損失になります。
特に正しい判断の助けになるのが③の詳細情報です。Bの「トレーニングジム」という予定を見て「大切な予定ではない」と思ったかもしれません。4年に1度の大会と聞いてもピンとこないかもしれません。でもそれは上司の価値観であり、部下の「大切にしているもの」は本人にしか分かりませんし、尊重されるべきものです。
こういった詳細情報は、表面的な聞き取りでは得られません。ランチタイムや移動中の会話で、仕事以外のことも含めて自己開示しやすい雰囲気をつくっていくことで、「部下にとって大事にしたいものは何か」という“価値観”の情報収集が可能になります。
(監修:東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部シニアコンサルタント 塚越学さん)
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