子どもが成長するにつれ、親子で楽しめる遊びはぐんと幅が広がっていくもの。22歳社会人と高校生の息子を持つ著者・小栗雅裕さんが、大人の扉を開き始めた息子達に「大人の世界はこんなに面白いぜ!」と伝えるこの連載。
 今回は子ども達が小さいころから家族で銭湯通いしていた小栗さんが、大人になった長男を久しぶりに連れ出して、「銭湯→焼き鳥屋」という魅力あふれる黄金コースへと繰り出します。

子どもと一緒のお風呂タイムは至福の時間

 子ども達が赤ちゃん時代のお風呂について、細かいことや大変だったことはすっかり忘れている。でも息子達はお湯に漬かると、目を細めて心地よさを全身で味わっている感じだった。

 そりゃ、生まれるちょっと前まで羊水という最高の“お湯”に漬かっていたのだから、お風呂は大好きなはずだ。

 お風呂はお父さんの役目ってうちは多いけれど、実際、この楽しみを渡してなるものかってところもある。お母さんにおっぱいというギフトがあるように、お父さんにもお風呂がある、と大きな声で言いたいのだ。

 赤ちゃんをおなかに乗っけているだけの時期から、アヒルさんを浮かべて一緒に遊びだす時期まではほんのわずか。会話ができるようになると、湯船に漬かりながら保育園や小学校であった出来事を聞く時間が至福だった。

 狭いマンションのバスタブだけど、小学校を卒業するまでは、僕が入ると息子二人も必ず一緒に入ってきた。3人だとお湯があふれて無くなりそうになったし、底が抜けるんじゃないかと思うくらい騒いでいたのが懐かしい。

たっぷり、あふれる銭湯のお湯。家庭の風呂とは違う醍醐味<br>(銭湯のイメージカットはすべて東京・神楽坂にある「熱海湯」)
たっぷり、あふれる銭湯のお湯。家庭の風呂とは違う醍醐味
(銭湯のイメージカットはすべて東京・神楽坂にある「熱海湯」)