リーマンショックによる税収減で、3年間で100億円の積立金を取り崩す

―― 子どもの数の増減を予測するのはかなり難しいことなのでしょうか?

青木 2014年4月の時点で247人の待機児童が出ていますが、これも過去の推計に基づいて、待機児童が出ない数の定員を確保したうえでのことです。

―― 今でこそ保育園枠が足りないことが最重要課題になっている一方で、将来のことを考えると、子どもの数が減っていくという見方もあるようですが、その点についてはいかがお考えですか?

青木 実際、2018年をピークに、翌年から0~5歳児が減っていくという予測も出ています。目黒区ではリーマンショックの際に、税収が100億円減少しました。私が区長に就任したとき、将来に備えて52億円の積立金がありました。それを3年間で172億円に積み増したこともあり、過去の状況から見れば数字的には一定程度安心だと思っていました。それが、税収の減少により、3年間で100億円を取り崩す結果になってしまいました。

―― ためていなければ、大変なことになっていたでしょうね。

青木 はい、積立額が少なかったと反省しているところです。今も、厳しい状態には変わりありません。財政の健全化を図りながら、その中で子育て支援には力を入れていますし、これからもしっかり力を入れていきたいと思います。

「なぜ保育園に入れなかったか」へも、メールで回答

―― 区民からの声は、どのようにして吸い上げているのですか?

青木 事業を行う場合、区民のみなさまとの対話を行っています。例えば「区民と区長のまちづくり懇談会」などです。その他にも、商店街との集いなどを行っています。日曜日にも開催しています。

―― メールで届く意見も多いのでしょうか?

青木 区民のみなさまからのメールはすべてに目を通しています。保育園関係の意見や苦情も数多く頂いています。「第1子のときは保育園に入園できたのに、第2子のときに入れないのはなぜですか」といった質問にも、回答しています。

―― どう回答するのですか?

青木 入園は、判断の根拠となる指数によって決まります。ごきょうだいでもその時の状況で結果が異なる場合もあります。そういうことについて根拠を示しながら丁寧に説明します。

 こうした待機児童対策は早急の課題としながらも、首長としては区民のワーク・ライフ・バランスも重視していかなければならない。介護を理由に仕事を辞めざるを得ない人が増えているという現状もあります。

―― ワーク・ライフ・バランスの重要性については、DUALでも力を入れて発信しています。

青木 目黒区でも、一般の職員の残業が多いと、上司に報告が行き、改善策を求めるというシステムがあります。区長の仕事は、多岐にわたっていますから、私は残業続きですが(笑)。 区としても、区民のみなさまのワーク・ライフ・バランスが向上するように講演会などを通じて積極的にバックアップをしていかなければならないと思っています。