共働き世帯にとって保育園や学童保育クラブの運営など、子育て支援を担う自治体は頼りになる存在であってほしいもの。このたび日経DUALでは、読者に代わって、自治体の首長への突撃インタビューを開始しました。最初は東京23区に取材を依頼し、区長に質問をぶつけます(記事一覧はこちら)。

今回は目黒区。「定住したい」区民が95.2%という定住意向の高さに加え、最近は国有施設の跡地などにマンションが建ち、子育て世帯も増加しています。リーマンショックの影響などで約100億円減少したという税収の穴埋めを管理職の給与削減などで賄いながら、子育て支援には増額を行っている目黒区。直近の課題は247人(2014年)の待機児童解消です。前編では、目黒区出身、目黒区在住、自らの子育ても区内で行った青木英二区長が、待機児問題を中心に語ります。

青木英二 区長 

1955年、東京都目黒区生まれ。大学卒業後、塾の講師を経て、83年に目黒区議会議員当選。87年、再選。91年、東京都議会議員に当選し、2001年、東京都議会議員に再選される。2004年、目黒区長就任。2008年に再選し、現在3期目を務める。

ファミリー層が流入し、共働き率が上昇。待機児童数が史上最多に

青木英二・目黒区長
青木英二・目黒区長

―― 2004年に目黒区長に就任し、現在3期目ですが、区政の柱として持ち続けているものは何でしょう?

青木 子育てがしやすく、そして、安全なまちをつくっていくことです。

―― 共働き子育て世帯に関して行ってきた政策を教えてください。

青木 最大の課題は待機児童対策です。2014年4月1日付で247人。これまでで最多となってしまいました。待機児童の数え方には、いくつかのグレーゾーンがあります。目黒区は目黒区で正しいと思ってカウントをしてきたのですが、他のいくつかの区でカウントしていたものを数に入れていなかったという事実もありました。区民の皆さんに誤解があってはいけないので、例えばベビーホテルにいる子どももカウントするなどして、247人という数字になりました。従来のカウント方法だと116人になります。

 とはいえ、それでもまだ多い状況です。待機児童が増えた原因として、主に2つの理由があります。まず、目黒区が住みやすいという理由でマンションが新しく建設され、それによりファミリー世帯が増えています。区としてはうれしいことですが、結果として、就学前の子どもが増えているんです。2010年の0~5歳の子どもの数は1万932人だったのに対し、2014年は1万2307人。12.5%増になっています。

―― 子どもの数が増えているというわけですね。

青木 はい。2つ目は、共働き家庭の増加です。共働き率が2010年の42%から、2014年の46%に上がっています。要保育率は、2009年までは20%台でしたが、2010年には30%台に上がり、2014年には34%になっています。