女性の課題を解決するには、男性の知恵も必要

 女性を取り巻く課題を解決するためには、女性だけが頑張るのではなく、男性と一緒に作戦を練り、動いていく必要があります。3月のプレイベントにも、そういう気持ちを持った男性がたくさん訪れていました。

 子育てを楽しみながら、まともな時間帯にやりがいを持って仕事をしたい――。こういう当たり前の望みを実行に移した男性が、この日、登壇していました。三輪舎(さんりんしゃ)という“一人・出版社”の社長を務める中岡祐介さんです。中岡さんは、前回の記事(「赤ちゃんを電車に乗せるなとか言うから、子どもが増えない」)でご紹介した書籍『赤ちゃんにきびしい国で、赤ちゃんが増えるはずがない。』の担当編集者です。

 著者の境治さんがハフィントンポストに書いた記事を読んで感銘を受け、「ぜひ、これを本にしたい!」と企画を立てました。中岡さんご自身、小さなお子さん2人を持つパパであり、お子さん達との時間を大事にしたいと考えて、独立開業しています。働くママの気持ちが当たり前のように分かっている男性でもあります。

 意思があれば変えられる――。セミナーの最後に、Change.org日本代表のハリス鈴木絵美さんが『赤ちゃんにきびしい国で~』の一節を朗読するシーンがありました。特に印象的だったのは、みんなが「日本はそういうもの」と思っている慣習は、実は「昭和の当たり前にすぎない」という部分でした。仕事と子育ての両立を難しくしている企業社会や文化や制度が、たった数十年の歴史しか持たない。この事実を改めて考えてみると「それなら、変えることができそう」と思えるのではないでしょうか。

どんな国でも、ジェンダー平等を目指す道筋では、市民が動いている

世界の潮流を踏まえた日本女性の状況について講演する、ジェンダー専門家の大崎麻子さん
世界の潮流を踏まえた日本女性の状況について講演する、ジェンダー専門家の大崎麻子さん

 ジェンダー専門家で元UNDP(国連開発計画)勤務の大崎麻子さんは、女性を取り巻く世界の事情と日本の政策について、分かりやすく解説してくれました。女性問題の議論は、もともと人権の観点から始まったこと。10年ほど前から、世界銀行や世界経済フォーラムが、経済の観点から、女性のエンパワーメントを重視するようになったこと……。安倍首相が世界各地で「女性が輝く社会」を目指すと演説している背景がよく分かりました。

 国連職員として、途上国でジェンダー政策に携わった大崎さんはこう言います。「どんな国でも、ジェンダー平等を目指す道筋では、市民社会が自ら動いている。日本でも、国のトップが『女性が輝く社会を目指す』と国際社会に約束をしているのが現状。トップの約束は交渉の材料として、とても有効です。今、私達自身が、女性が本当に輝く社会をつくるときです」と。

 働きながら子育てする中で感じるもやもや。社会を変えたいという気持ちがある方は、下記にご紹介する「Changemakers Academy」のプログラムを、ぜひご覧になってみてください。