家庭内感染に注意
感染性胃腸炎

ウィルス性胃腸炎が子どもの嘔吐では多い。ノロやロタが知られているが、原因ウィルスは他にもあり、ひとたび保育園で流行すると感染を免れるのはなかなか難しい。突然の嘔吐から始まり、吐き気が治まると下痢になるパターンが多く、熱は出たり、出なかったりも。血便や高熱が続く場合は、より重症な細菌性の胃腸炎の可能性も。

【このような嘔吐は他の病気の可能性が。すぐ救急へ!】
●時々激しく泣く、を繰り返す。血便があることも。→腸重積の可能性。
●発熱と嘔吐のみ(下痢はない)でぐったりしている。頭をひどく痛がる。→髄膜炎の可能性。
●けいれんと嘔吐の組み合わせ。→外傷性脳損傷の可能性。
●激しく繰り返す嘔吐、激しい腹痛が同時に起こる。

→おうちケアのポイント
脱水症状に気をつける。脱水の兆候はおしっこが少なく、肌がカサカサ、涙が出ない、よだれが出ないなど。嘔吐が治まったら経口補水液などを活用してなるべく早く水分をあたえる。

嘔吐物を処理する際に、子どもから親へうつることが多いので、次亜塩素酸ナトリウム希釈液を使った消毒、手洗いを徹底する。

■関連記事 「ノロ、ロタ、嘔吐下痢… 家庭内感染を防ぐ処理法」

子どものお尻はデリケートなので、下痢が続くときは、おしりふきやトイレットペーパーで拭かずに、シャワーで洗い流してあげるとよい。

RSウィルス感染症に注意!
咳や鼻水

生後すぐの赤ちゃんでも、家族からうつされて風邪を引くことはある。おっぱいやミルクがきちんと飲めているか、おしっこがいつものように出ていれば心配はないが、ぜんそくのような呼吸困難症状を起こすRSウィルス感染症もある。

→おうちケアのポイント
咳や鼻水には部屋の加湿が効果的。

【こんな症状が出たらすぐに救急へ】
●呼吸が早い、うめきながら呼吸をする
●胸がペコペコしている
●小鼻をぴくぴくさせて呼吸する
●ゼイゼイいっている
●苦しくて寝られない
●ずっと泣いている
●せき込んで嘔吐する
●おしっこが減る
●チアノーゼ(顔色が悪い)

けいれん(ひきつけ)

生後6カ月〜6歳くらいまでに起きる、発熱時のけいれん(ひきつけ)で、100人に7~8人の割合で起きると言われている。単純な熱性けいれんなら心配はないが、すぐに救急車を呼んだほうがいい場合も。

【こんな症状が出たらすぐに救急へ】
●生後6ヶ月未満のけいれん(通常は熱性けいれんが起きにくい月齢)
●発熱のないけいれん
●5分以上続くけいれん
●繰り返し起きるけいれん
●左右差のあるけいれん
●けいれんが止まって呼びかけても反応が鈍い
●唇の色が紫で呼吸が弱い

→おうちケアのポイント
まずは落ち着くこと。近くに物が無い平らな場所に寝かせて、衣服やおむつをゆるめる。吐いたもので窒息しないよう、顔を横向きにする。大声で呼びかけたり、体をゆすったりしようにして、どのくらいの時間けいれんが続いたか、けいれんは左右対称か、白目をむいたときの瞳の位置などを観察する。口の中には物を入れないこと。

【その他、保育園でよく流行する病気】
●溶連菌感染
●とびひ
●プール熱(咽頭結膜熱)
●ヘルパンギーナ
●手足口病
●ヘルペス感染
●伝染性紅斑(リンゴ病)
●上気道炎

 次回は、感染症以外の不調で「保育園に行ってもOKかどうか」判断に悩んだときに役立つ、登園の目安を紹介しますね。

(ライター/中島夕子)