第1回目の「トップ教師は『やる気を引き出すワザ』を知っている」、第2回目の「小学生を『本気を出す子』にする方法とは?」に引き続き、現役の小学校教師・山田将由さんから「小学生の子どものやる気を引き出し、自分の力で考えさせるコーチング術」を教えてもらう。

 最終回となる今回は「父親・母親が家でコーチングを実践するときのヒント」を教えていただいた。

【主な内容】
●家でのルール作りに役立つコーチング術
●子どもの説得には「権威」や「脅し」も効く
●コーチングは万能ではない(特に低学年の場合)
●親の影響力が、子どもの中の「答え」を形作る

小学生へのコーチング技術をまとめた『トップ1割の教師が知っている「できるクラス」の育て方』の著者である、現役教師の山田将由さん
小学生へのコーチング技術をまとめた『トップ1割の教師が知っている「できるクラス」の育て方』の著者である、現役教師の山田将由さん

家でのルール作りに役立つコーチング術

「家庭でコーチングの効果が発揮しやすいのは、ルール作りだと思います。例えば、ゲーム機やスマートフォンを買い与えるとき、各家庭でルールを作ったりしますよね。そんなときコーチングの要素を取り入れてみるといいでしょう」(山田さん、以下同)

 ルール作りで、悩みを抱えている家庭は多いのではないだろうか。「ゲームは1日1時間」「スマホは夜の8時まで」と決めても、すぐに子どもが破って親子げんか、なんてケースもよく耳にする。

こういったルール設定がうまく機能しないのは、親が一方的に決めているからです。ここにコーチングの『双方向』の要素を取り入れて、子どもに決めてもらいましょう」

 ただし、子どもに向かって「あなたがルールを決めなさい」と、投げかけてもなかなかうまくいかない。そこで、まずはこちらの心配事を列挙するのがいいという。

「『ゲームは買ってもいいけど、君の目が悪くなっちゃうんじゃないか』、『宿題の時間がなくなったり、寝る時間が遅くなる』、『ご飯だよって呼んでも、すぐに来てくれないのじゃないか』など、親の心配事を子どもにぶつけるのです

 そうすると、子どもは考える。ゲームを買って欲しい一心の考えであっても、自分で考えたルールを作る。こうすると、子どもが守ろうとするルールができるという。

 山田さんの話を聞いていると、ルール作りには、いかに「具体的な心配事」を列挙するかが、ひとつのポイントになってきそうだ。