親の影響力が、子どもの中の「答え」を形作る

 山田さんは、コーチングをするうえで「答えは子どもたちの中にある」という意識をとても大切にしてきたそうだ。迷ったときは、子どもに聞く。答えは大人が求め探すものではなく、子どもの中にあるという指針は忘れずに覚えておきたいものだ。

 そして山田さんは、このことばから、示唆に富むひとつの気づきを教えてくれた

「子どもたちの中にある“答え”を形作るのは、親だろうなとよく思うんですよ」

 教壇に立つようになって「子どもは親の鏡」ということばは本当だと、気づく機会が増えたという。たとえば、「本を読むのが大事」という答えは、そう実感する機会がない子からはなかなか出て来ない。

 子どもから「こんな答えが出てきてほしい」と願うならば、日々の暮らしから、その種を子どもに植えていくことも大切なのだろう。

子どもが一番信頼している親が『これはいいんだよ』と言っていることが、子どもの選択肢になります。そういう意味で親の影響力は大きい。でも、先生の影響力も大きいですよ。私がコーチングを意識して『どうしたらいいと思う?』とよく尋ねているせいか、いつの間にか子どもたちも『どうしたらいいと思う?』なんて子ども同士で言っていますからね(笑)」

 さて、コーチをしているサッカーチームの子どもたちのやる気をどうやって引き出そうと考えていた僕ですが、さっそく山田さんに習ったコーチングの要素を取り入れてみようと思います。

 近々、試合が控えているのですが、試合後は、どうしてもお説教モードになりがち。でもここで「何が足りなかった?」「何がよかった?」「これからどうなりたい?」と聞いてみようかと。、これには第2回記事で紹介した「Keep、Problem、Try」を書き記す「KPT法」も使えそうですね。

 子どもたちからどんな答えが出てくるのか。それから子どもたちがどうなったのかは、また機会があればご報告したいと思います。

(文/岡部敬史 写真/近森千展)