経済ニュースを読み解くのに重要なキーワードの一つとなるGDP(国内総生産)。子ども達が大人になったときの未来について考えるこの連載で、今回取り上げるテーマはGDPです。
 GDPといえば、数年前、日本が中国に抜かれて世界3位になったことは、きっとご記憶だと思います。このことは一体、何を意味するのでしょう?
 子ども達の未来と日本経済を考えていくうえでも正確に知っておきたいGDPの意味。記事の<上>では子ども達にちゃんと説明できるように「GDPって一体何のこと? 何に注目すればいいの? GDPで日本の経済力が分かるの?」といったGDPの勘どころについて、そして<下>では日本のGDPの展望について、分かりやすい解説で人気のファイナンシャルプランナー、深野康彦さんに教えてもらいました。

お店でいえば「売り上げ」=商売の規模

「GDPって何のこと?」

「お店が物を売ると、売り上げが入ってくるよね。GDPは国にとっての売り上げのこと。売り上げっていうのは、入ってくるお金の合計だ」

日本のGDPの将来はどうなる?

2010年=4兆850億ドル(世界3位)

2050年=4兆570億ドル(世界4位)

※21世紀政策研究所の予測(2012年)。金額、順位は人口(2050年に1億人割れ、など)、生産性(先進国平均並みに回復)などいくつかの前提条件に基づく。金額は2005年を基準とした購買力平価レートをベースに一人当たりGDPの推移などを加味して算出。

 GDP(Gross Domestic Product)は「国内総生産」。文字通りに解釈すると、その国で作り出されたモノの総額……? 教科書を見ると「一定期間にその国が生み出した付加価値の合計」と書いてあります。

 分かったような気もしながら、どうにもピンときませんね。要するにどういうことなのかを深野康彦さんにお尋ねしたところ、「お店に例えたら分かりやすいと思います」という答えが返ってきました。

 「花屋さんを思い浮かべてください。色々な経費をかけて店を整え、仕入れた花を売ってお金を稼いでいます。日本が一つの花屋さんだとすると、GDPは1年間の売り上げの合計のようなものです。売り上げを見ればその店の商売全体の規模が分かるように、GDPはその国の経済活動全体の規模を示します」

 仮に一本1000円のユリの花が1年間に1000本売れたとすると、売り上げの総額は100万円。日本の国がこの花屋さんなら、この100万円がGDPに相当するわけです。

 売り上げが増えてこそ店の利益が増え、従業員の給料もアップするのと同様、GDPが増えないと国民全体の実入りは増えません。GDPは私達の生活水準を左右するおおもとの数字と言えます

総務省統計局のサイトより、UN, National Accounts Main Aggregates Database 
総務省統計局のサイトより、UN, National Accounts Main Aggregates Database