子育てしやすい環境が整う北欧の小国、フィンランド。前回の記事「フィンランド人の夏休みは森で1カ月コテージ滞在」に続いて、フィンランドの首都・ヘルシンキに8年住んで日本に帰国したワーキングマザー、安藤由紀子さんによるリアル・リポートをお届けします。

フィンランド人は、シャイな男性と社交的な女性?

 フィンランドで生活をしていて感じたことは、女性が非常に強い国だということ。暮らし始めたころ、女性のほうが意見を強く主張する印象を持ちましたが、8年間生活した後もそのイメージにさほどブレはありません。

 「フィンランド人は少し日本人に似ている部分がある」と言う人もいましたし、私自身もそう感じたことがあります。それは主に男性について感じました。内向的というのでしょうか、シャイで寡黙な人が結構いるように感じたのです。一方で、女性は社交的で強い印象を受けました。

フィンランドの人々は自然が大好き
フィンランドの人々は自然が大好き

 その要因として、多くの女性が職を持ち、男女平等、女性の社会進出の先進国であるといった、社会的な裏付けも挙げられるかもしれません。

 フィンランドというと子育て支援制度などの社会保障制度が充実しており、「お母さんに優しい国」「女性が住みやすく、働きやすい国」といった評価を耳にすることも多いかと思います。

 50代のフィンランド人女性に「この国は本当に女性が強いですね」と話しかけると、「確かに家庭内では女性が強い場合が多いけど、社会の中でまだまだ女性が強くない部分もありますよ」という答えが返ってきました。

 フィンランドの社会でも、現在60~70代くらいの世代が若かったころから共働きが当然になってきたようですが、その親世代は母親が家にいる家庭も多かったようです。ですから、「まだまだ男性社会の部分も残っている」とその女性は話していました。

 とはいえ、日本で育ってきた私から見ると「それでも日本より50年は早く女性の社会進出や、そのための制度の充実が進んでいたのだな」と、なんだか自分が時代的に遅れた国の出身のような気がしてくることもありました。