残業とは無縁! 子育て中は午後4時に帰る働き方

 ヘルシンキでの生活で最初に驚いたことはフィンランド人の働き方です。

 意匠系(建物の配置やデザインなどを決める建築分野)の小さな建築設計事務所でも、基本的に所員は8時間勤務。本当に8時間で、残業はほとんどありません。

 日本でも建築設計の仕事をしていた私には、当時単身だったこともあるのでしょうが、深夜までの勤務はごく自然のものでした。特に小さな設計事務所の長時間勤務は、自分の経験からも、さらに他事務所の話を聞いてもひどい状態でした。

 ヘルシンキで生活を始めて「ああ、この仕事を続けていてもプライベートな時間を十分に持てるのだ」と不思議な気持ちになったことは忘れられません。結果的に8年も滞在することになったのは、最初のこの驚きが一番の要因であったかもしれません。

 では、なぜ8時間で仕事が終わるのか、日本人にはとても不思議なことかもしれませんね。ですが、身を置いてみると何も特別なからくりは無いのです。

 ただ、仕事相手も午後5時、6時には帰ってしまうことが多く、ましてや子育て中であったら午後4時には帰ってしまうこともあるため、仕事は合理的にこなしていきます。日本人より割り切りというか、線引きがはっきりしていて、「私の仕事はここまでなので、この時間内でできる仕事の内容、方法を選択する」という考え方です


ヘルシンキ中央駅。通勤もフィンランドではトラムやバス、電車で30分もかからないくらいが常識

 そして、日本と比較すると首都であるヘルシンキでも時間がゆったりと流れています。一概には言えませんが、絶対的な仕事量も日本ほどは多くない傾向にありますし、もちろん付き合い残業という概念は全くありません。「仕事は自分の生活の一部ではあるが、全部ではない」という考え方が一般的なので、長時間勤務を強いるような環境は生まれてこないのです。

 それでも建築設計事務所はフィンランドの社会全体から見れば、勤務時間が長くなることもありました。でもそれは、緊急の事態で急ぎの対応が必要になったとき、コンペの提出前などと限定されていました。