20代は体力が高いです。多少無理しても、一晩寝れば疲れも吹き飛びます。仕事も、きついとはいってもそれほど責任は重くなく、自分に課された仕事を真面目に行っていれば、まあなんとかなるものです。

 しかし、30代、40代になると職場でも責任が重くなってきます。色々な仕事を同時進行したり、色々なところに目配りをしないといけなくなる。また、仕事に求められる完成度も高くなるので、明らかに、疲れ具合の質が変わってきます。

ライフイベントによる疲れにも要注意

 そして今、結婚年齢が変化しています。かつては25歳ぐらいが結婚年齢のピークでした。「結婚」は幸せの象徴でもある一方、生活パターンが一変するため大変なエネルギーを必要とします。その心理的、肉体的エネルギーの消耗は身内を亡くしたときの半分ほどもあると仮定する学者もいるほどです。

 さらに結婚の後は出産もある。職場復帰もある。これらにも多くのエネルギーを費やすことになります。

 現代社会では、結婚年齢が後ろにずれ、出産も35歳ぐらいが普通になってきた現代。すると、結婚や出産のイベントと体力低下期が重なり、疲労しやすくなっているのです。そのころから仕事の責任も重くなってきて、職場での負担もぐっと増すわけですから、かなり自覚して工夫をし、自らのケアをしないと疲れ切ってしまいます。

疲れていても頑張れてしまうのはなぜ

 また、疲れにはやっかいなところがあります。自分だけ仕事を休むわけにはいかない、と本人が強く思っていると、疲労の知覚システムが壊れて麻痺し、どんどん頑張れてしまうのです。周囲から見てもとても元気で、疲れてなんかいないように見えてしまう。だから本人が気づかない間に、どんどん疲労が深まってしまいがちです。

 そんな中でも、唯一自覚しやすいのが、「睡眠の変化」です。疲れているのに眠れなくなる、ということがあったら「相当疲れているんだな」と自覚してください。
 できれば金曜日に休みをとり、金・土・日とゆっくりする「3日間のオフ」が効果的です。自衛隊でも、災害派遣などの後に心身の疲労で調子を崩す隊員が出ると、とにかく3日間、とことん寝かせて休ませる、という対処をとり、効果を奏しています。