共働き世帯にとって保育園や学童保育クラブの運営など、子育て支援を担う自治体は頼りになる存在であってほしいもの。このたび日経DUALでは、読者に代わって、自治体の首長への突撃インタビューを開始しました。最初は東京23区に取材を依頼し、区長に質問をぶつけます。

今回は、全国初の公立小中一貫校の設立、保育園・幼稚園と小学校の連携など、子育て・教育分野のユニークな取り組みが注目されている品川区。前編では、前区長の意思を継いで実現させた公立小中一貫校、「小1プロブレム」解消を目指す「保幼小連携プログラム」、自分の子どもが通う保育園に親が「一日保育士」として保育士体験をするプログラムについて伺います。

濱野 健 区長

1947年、神奈川県茅ヶ崎市生まれ。大学卒業後、73年から品川区役所勤務。91年品川区総務部職員課長、99年同企画部長、2000年品川区助役となり、2006年品川区長初当選。2010年再選、2014年再々選を果たし現在3期目。

区長就任後、最初に取り組んだのが、小中一貫校をつくること

濱野健・品川区長
濱野健・品川区長

DUAL編集部 昨年3選を果たし、3期目に入った濱野区長ですが、もともとは品川区の職員をされていたのですね。

濱野区長(以下、敬称略) 私は神奈川県茅ヶ崎の出身で、家は骨董屋でした。商売人の家庭でしたから、継ぐのも悪くないと思っていたのですが、のれん分けするほどの規模でもない。ならば、社会をより良く変える仕事もいいかもしれないと。就職活動をして内定も得ていたのですが、公務員になりました。

 現在は品川区内在住ですが、職員時代は茅ヶ崎から通勤していました。娘と息子は、今では独立してそれぞれ家庭を持っています。娘は出産とともに仕事を辞めて専業主婦になり、息子のところは共働きで子育てしています。

 品川区の助役を務めていたときに前任の高橋久二区長が任期中に急逝し、後任として区長選に出馬することになりました。区政で、やりたいことは数多くありました。でも突然の話で、選挙戦もまるで太平洋で金魚を釣っているような感じで(笑)、手応えがよく分からなくてね。妻は幼なじみなのですが、まさか公務員の夫がいきなり選挙に出るとは思っていませんから、最初は色々大変なようでした。接戦の結果、無事に当選し、今に至ります。

―― 最初に取り組んだのは、どんな施策でしたか?

濱野 高橋区政の継承として、施設一体型の小中一貫校6校を無事につくり上げることでした。区長選があった年の2006年4月に、1校目の品川区立小中一貫校・日野学園が開校。全国初の施設一体型公立校ということで話題にもなりました。