仕事を優先し、結婚・出産を後回しにする女性の増加に伴い、不妊のリスクも増しています。「共働き夫婦で、第1子はできたけれど、第2子がなかなかできない」という“隠れ不妊”に悩んでいる人もいます。妊娠に関する正しい知識を、アラフォーで2児の子育て真っ最中、アメリカ・ボストン在住の産婦人科医、樽井智子(たるい・ともこ)さんが、連載「USA発 ともこ先生の DUALな妊活A to Z」で教えます。

 この連載ではこれまで、「自分でできる“妊娠しやすい体”のつくり方」、基礎体温表をつけながらタイミング法を取ってみても残念ながら授からない場合は、妊活カップルがクリニックを受診する目安(参照「妊娠率が最も高いのは、排卵日2日前の性交渉」)や、いい病院の選び方(参照「不妊治療、いい病院の選び方と治療ステップ」)を参考に、早めに専門医を受診したほうが良いことなどについて、お話ししてきました。

 「不妊治療を受けても40歳以降の妊娠出産は難しい」では、不妊の原因は男女半々といったことにも触れましたが、今回は不妊の原因と検査について、改めてもう少し詳しくお話ししたいと思います。

妊娠・出産に至るには、妊娠に関わる器官がすべて正常に働く必要がある

 女性が、妊娠・出産に至るためには、妊娠に関わるすべての器官が正常に働く必要があります。

【妊娠・出産に必要な器官】

1. ホルモン分泌をつかさどる脳の視床下部、下垂体
2. 性ホルモンを分泌し、卵子を育て、排卵が起きる卵巣
3. 卵子と精子が出合って受精する場、そして受精卵を子宮まで運ぶ働きをする卵管
4. 受精卵がたどり着き、着床し、胎児を育む場である子宮

 これらの器官すべてが上手に調和して働く必要があります。このどこか一つでもうまく働かないと、妊娠が成立しません。

不妊専門医の受診では、最低3回は検査する必要あり

 さて、妊活中のカップルが不妊専門医を受診すると、まずは授からない原因が何かを調べるため、問診、そして検査を行い、その結果を踏まえて、カップルの意志を尊重しながら、よりよい治療方針を決めていきます。

 初めに行うのが、ホルモン検査、超音波検査、子宮卵管造影検査、フーナーテスト(性交後検査)、クラミジア抗体検査、精液検査といった検査です。

 女性には月経周期の時期別に検査を受けていただく必要がありますので、最低3回は、検査のために受診してもらうことが必要になります。(参照「不妊治療、いい病院の選び方と治療ステップ」

 また、これらの検査に加えて、不妊のための検査ではありませんが、妊娠に問題となる病気などがないかを確認するための検査、子宮頸がん検査や、風疹の抗体価検査なども行います。

 不妊の原因と検査は多岐にわたります。まず、不妊の原因部位別に、検査の内容と検査で分かる原因、検査では分からない・分かりにくい原因を次ページで一覧表にまとめました。