治療法は不妊因子別で異なる

 不妊治療は基本的にはステップアップ方式で、「タイミング法 → 人工授精 → 体外受精 → 顕微授精」と順番に行っていくことを説明しました。ですが、不妊に関する検査により、不妊の原因が分かった場合は、原因に応じた段階から開始することになります。また、原因疾患に対する治療も同時に行われます。

 部位別の不妊原因と、その治療法を以下の表にまとめました。

クラミジア感染経験者は、20代女性の30%。その80%が無症状で経過

 クラミジア感染症は、尿路や性器、咽頭などがクラミジア・トラコマチスという細菌に感染する性感染症です。世界的に最も頻度の高い性感染症として知られ、日本でもその蔓延が問題となっています。2001年の厚生労働省感染症発生動向調査によると、クラミジア感染したことがある女性は、20代で30%だったと報告されています。

 クラミジア感染症の一番の特徴は、多くのケースが無症状で経過することで、女性で80%、男性で50%は無症状で経過するといわれています。

 症状はあっても軽いことが多く、女性の場合は、おりものが増える、おりものの臭いが強くなる、軽い下腹部痛などが起こることがあります。男性の場合は、分泌物が増えたり違和感があったりすることがあります。

 そのために感染に気付かずに、そのまま未治療のまま放置してしまい、再感染を繰り返すことが多いのです。特に女性では子宮頸管炎や子宮付属器炎につながって卵管の癒着や通過障害を起こし、卵管妊娠や不妊を来します。

 クラミジアを含む性感染症の予防法は、コンドームを使用すること。ただし、コンドームは挿入前から着けることが大切です。また、クラミジアに感染した場合、カップルで同時に抗生剤による治療を受ける必要があります。

 今回は、不妊の原因と検査について、おさらいしてみました。繰り返しになりますが、なかなか妊娠しないなと思った時は、躊躇せずに基礎体温表を持って、カップルで不妊専門の医療機関を受診して、相談してみることをお勧めします。