検査は原因部位別に用意されている

 難しい、聞いたことのないような用語がたくさん出てきてしまったかもしれません。クリニックでは、授からない原因として可能性の高いものを、体を傷つけずにできる検査から順番に説明を受けたうえで受けていただきます。検査について、何か分からない点、不安な点などは、遠慮せずに担当の医師やスタッフに質問してください。

主な検査を見ていくと

 上記の表の中から、妊活カップルが受ける主な検査をいくつかピックアップして、説明していきたいと思います。

1.【基礎体温表】

 基礎体温表の見方などについては「妊娠率が最も高いのは、排卵日2日前の性交渉」で詳しく説明させていただきました。自宅で、自分でできる簡単な検査で、下記のようにとても有用な情報を得られます。女性が自分自身の体を知るためにも、ぜひ付けてみましょう。

【調べる項目】

・排卵の有無
・排卵日
・妊娠しやすい時期の予測
・次の月経の時期
・黄体機能不全の有無

2.【ホルモン検査】

 月経周期に合わせて採血し、以下のホルモン値を測定します。

【調べる項目】

・黄体化ホルモン(LH)
・卵胞刺激ホルモン(FSH)
・エストラジオール(E2)
・黄体ホルモン(P)
・甲状腺ホルモン(TSH、T3、T4)

 月経周期に合わせてこれら女性のホルモン値は変化していきます。 この検査により、視床下部、下垂体、 卵巣、甲状腺からのホルモンの分泌に問題がないか、不妊の原因になっていないかを推測できるのです。

3.【経膣超音波検査】

 膣からプローブという超音波検査の器具を挿入して、子宮と卵巣、卵管の状態を調べます。それによって以下のことが分かります。妊活時には不可欠な検査です。

【調べる項目】

・子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮奇形などの有無
・卵巣腫瘍、多嚢胞性卵巣症候群などの有無
・卵管水腫などの有無
・卵胞の発育と、子宮内膜の経時的な変化

4.【子宮卵管造影検査】

 卵管が通過しているかどうか、そして腹腔内に癒着が無いか、子宮腔内の状態などを調べるために行う検査です。検査は月経が終わってから排卵までの時期に、妊娠の可能性が無い状態で行います。また、検査実施までは避妊をしていただきます。

 卵管が細い場合(「卵管狭窄」)や、卵管が詰まっている(「卵管閉塞」)場合は、検査時に痛みを感じる方が多くなります。

 子宮内に風船の付いた管を入れ、風船を子宮腔内で膨らませ、造影剤がもれない様にしてから、X線透視下で、造影剤をゆっくり注入します。異常がない場合は、造影剤は子宮内腔に充満し、その後両側の卵管を通り、卵管采と呼ばれる卵管の先端から腹腔内に流れ出す様子が見られます。翌日には、腹部単純X線写真を1枚撮り、造影剤が腹腔内に均一に拡散しているかを確認します。それにより、腹腔内の癒着の有無が大体分かります。

5.【フーナーテスト(性交後検査)】

 性交後に、子宮頸管粘液中に精子がいるかを調べる検査です。腟内に射精された精子が、子宮頸管粘液を通過して、子宮腔内に侵入できなければ、自然妊娠は期待できません。検査では、排卵日ごろにタイミングを合わせて性交渉をしていただきます。交渉後2~12時間内に、子宮頸管の粘液を採取し、頸管粘液中にいる運動精子の数を調べます。精子の状態は常に変化していますので、検査結果が悪い場合は、別の周期に改めて再検査することになります。

6.【男性因子の検査】

 「30歳男性と45歳男性では妊娠率が20%低下する」では、男性不妊症の原因や精液検査などについて触れました。男性の場合は、精子が作られて運ばれ、射精するプロセスのどこかに問題があると不妊になります。

 具体的には、病因別に、精子を作る過程に問題がある「造精機能障害」(90%)、精子が作られてから出てくるまでに問題がある「精路通過障害」(5%)、交渉が持てない「性機能障害」(3%)、その他(2%)となっています。

 具体的な検査としては、精液検査のほか、視触診、超音波検査、ホルモン検査を行い、必要に応じて染色体検査や、AZF(Y染色体上にある男性不妊に関係する遺伝子)検査を行う場合があります。