事件を読む! 広島市で小中学生に携帯電話・スマホの利用時間制限 全国に広がる利用時間制限

今回取り上げる記事の二本目はこちら。


◇読売新聞 子どものスマホ 10時でOFF運動…広島
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20150226-OYT8T50170.html

◇記事のポイント◇
○広島市で市内の小中学生対象に携帯電話・スマートフォンの利用時間制限を設ける「10オフ運動」開始
○携帯電話・スマートフォンの長時間利用で生活習慣の乱れ、いじめが問題に

 県や市単位などで、小中学生を対象に携帯電話・スマートフォンの利用時間制限を設ける動きが全国的に広がっている。2014年4月に愛知県刈谷市が9時以降スマホ・携帯電話を利用禁止としたことをきっかけとして広がったものだ。この時は、LINEなどを使ったトラブルやいじめ、生活習慣の乱れを回避するための措置とされた。

 続いて、岡山県、静岡県、福岡県春日市・福岡市・北九州市、石川県加賀市、兵庫県多可町、熊本県人吉市、山口県下関市、宮城県仙台市などでも子どもの携帯電話・スマホの利用時間が制限された。これに、広島県広島市も続いた形だ。

 実は、既に制限した福岡県うきは市立吉井中学校が同校生徒に実態調査をしたところ、約3割以上が「ぐっすり眠れるようになった」、約4割が「学校で友達との会話が増えた」と回答するなど、子ども達の間でも利用時間の制限に対する評判は上々なのだ。

 最近は、ネット依存の中でも、特にLINEの長時間利用が問題視される傾向にある。LINEの利用者の年齢は年々下がってきており、早い子になると小学校中学年から利用し始める。LINEはチャットのようにやりとりするツールであり、やめ時が分からず延々と使いすぎてしまうことが多い。子ども達も「本当は眠いけれど、(返事をせずに)嫌われたくないからやめられない」と言う。利用時間が制限されたことで、お互いにやめる口実ができたというわけだ。

 総務省情報通信政策研究所「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査報告書」(平成26年7月)によると、スマホの利用によって「睡眠時間」(40.7%)、「学習時間」(34.1%)が減少したと答えている。

 携帯電話やスマホには良い面もあるが、利用によって実生活に悪影響が出ては意味がない。携帯電話やスマホ等は楽しく、大人でも使いすぎてしまう人は多い。ましてや子どもが自ら制限するのは難しい話だ。子どもが利用をコントロールできるよう、保護者も協力する必要がある。

 静岡県などは、PTAが主体となって利用時間制限を設けている。クラス単位、学校単位、友だち同士などで利用時間制限を設けるという方法もある。保護者側が施す対処のヒントが隠されている記事と言えるだろう。