日経BP社では、レッスンルポから講師研修、OB・OGのインタビューまで、ヤマハ音楽教室の全貌を1冊にまとめた『音楽は心と脳を育てていた ヤマハ音楽教室の謎に迫る』を3月17日に発売しました。

 本記事では上記書籍から、幼児教育や習い事を考えている人向けに、「音楽教室」と「幼児の脳の発達」の関係について、2回にわけて内容を紹介します。

 できるだけ多くの選択肢を与えて、子供の才能を見出したいのが親心というもの。星の数ほどある習い事から何を選ぶか? 悩みどころだ。

 ここでは習い事の定番、「ヤマハ音楽教室」の“効能”について紹介していく。幼児の発達に及ぼす影響について、脳神経外科医で脳科学者の林成之氏に聞いた。

 まずは、ヤマハ音楽教室について簡単におさらいしておこう。ご存じの方も多いかもしれないが、ヤマハと、普通のピアノ教室には3つの大きな違いがある。

(1) いきなりピアノを弾かない

 バイエルなどの基礎から練習し、いきなり鍵盤を弾くピアノ教室とは異なり、4〜5歳児を対象としたヤマハ音楽教室の幼児科は、まずは曲を聴かせて、旋律や歌詞をドレミで歌う。聴覚が最も発達するこの2年間は特に「聴くこと」を重視し、反復練習に重きを置くのも特徴だ。鍵盤を弾きながら旋律を確かめるのはその次。演奏だけではなく「きく」「うたう」「ひく」「よむ」「つくる」の5つの要素を組み込んだプログラムになっている。

(2)グループレッスン

 個人指導ではなく、最大10人程度のグループレッスンで、アンサンブル(合奏)なども行う。

(3)幼児科は親同伴

 幼児科の2年間は必ず親もレッスンに参加。基本は子供の横に座っているだけだが、親がそばにいることによる安心感を与えることが大きな目的だ。