お節介なおじさん、おばさんが地域の子どもを温かく育てていた町
DUAL編集部 西川区長は荒川区のご出身なんですね。
西川区長(以下、敬称略) この町はね、町全体で子どもを育てる雰囲気が元からあったんです。お節介なおじさん、おばさんがいて、自分の子どものように叱る。
私の父は地元荒川区を拠点にして事業をしていたのですが、私をよく銭湯に連れていってくれました。「湯船に入る前にはお湯をかけて体をきれいにしなさい」「人様に湯のしぶきをかけないように」「お年寄りの背中を流してあげなさい」と色々なことを教えられました。父が一緒に行かず、私が一人で行くこともありましたが、そのときはおじさん達が「西川の坊ちゃん。そういう入り方をしてはダメだよ」と普通に注意してくれました。
これはほんの一例ですが、みんなが当たり前に人の子にも声掛けして、教育してくれたものです。幼稚園や小学校で教えることは、あくまで“スタンダードな教え”でしょう? この町で暮らすマナーは、町の人から教えてもらったわけです。
―― そのころから町は変わりましたか?
西川 他区から転入した新しい区民も増えました。人口も増えて、21万人弱になっています。荒川区の魅力の一つは、治安がいいことです。刑法犯の認知件数の少なさでは、文京区、目黒区に次いで第3位です。またアクセスも良く、大手町などの都心へも通いやすいですよね。
その他、学校の図書館も充実しています。30億円の予算をかけて区内すべての小中学生1万5000人にタブレットPCを配布した日本初の自治体でもあります。これは教育長の努力です。
また、都立病院などでキャリアを重ねて引退した看護師さんをスカウトして、障がい児を扶養する家庭に派遣して、子どものケアを行ってもらい、その間に保護者が外出できるようにもしています。これは福祉部が実現しました。
私が区政を預かってから10年を過ぎましたが、その間に1000を超える改革を行ってきました。それらがじわじわ浸透して、現在の転入増につながってきていると感じています。