重要なのは、「吸引力」ではなく「集じん力」
──スティックコードレスクリーナーというと、「吸引力が弱い」「使える時間が短い」というイメージがありました。現在の製品はどうですか。
そうですね。やはりその2点が一番気になるところだということは、メーカーもよく知っていますから、色々と工夫しています。ところで、ゴミを吸う力を知りたいときは、吸引力を見ればいいと思っていませんか?
──え、違うんですか?
はい。日本のJIS規格では「吸込仕事率」を表記するように定められているため、日本メーカーは吸引力の向上に力を入れてきました。ですが、実は掃除機に求められているのは「吸い込む力」ではなく「ゴミを集める力」、つまり「集じん力」です。少し分かりにくいかもしれませんが、集じん力と吸込仕事率はイコールではありません。集じん力を測る目安になるのは「ダストピックアップ率」で、掃除機を選ぶ場合、海外ではこのダストピックアップ率が重視されています。
──「吸込仕事率」と「集じん力」の違いを、もう少し詳しく教えてください。
「吸込仕事率」を測るには、パイプの先で「真空度」と「風量」を測定します。つまり、掃除機の中やパイプの中を流れる空気の動きを測るんです。対して「集じん力」、つまり「ダストピックアップ率」は、実際にゴミのサンプルを用意して、そのゴミをどのくらい吸い込んだかということを測ります。つまり、文字通り「ゴミを吸い取る力」を測るわけです。ダストピックアップ率では、100のうちどれくらい吸い込んだかということを数字で表します。ヨーロッパ基準だと、95以上のものがほとんどです。