定番掃除機となったスティッククリーナー
──最近、家電量販店の売り場を見ると、スティッククリーナーをよく見かけます。以前より注目されているのでしょうか。
もともと掃除機はキャニスターモデルが一般的だったんですが、2013年ごろからスティッククリーナーが注目され始め、2014年には定番掃除機として定着しました。実際、GfKが調べたスティッククリーナーの国内販売台数の推移を見ると、昨年の販売台数は2010年の2倍以上になっています(グラフ参照)。GfKによると、昨年初めてキャニスター掃除機のシェアが全体の半数を割ったとのこと。これにも、スティッククリーナーの人気が影響しています。
──2014年は、ロボットクリーナーも注目されていましたよね。
はい、ロボットクリーナーも2013年から2014年にかけてよく売れました。実は、スティックコードレス人気は、ロボットクリーナーの普及にも影響を受けているんですよ。ロボットクリーナーは家の中を自走してきれいにしてくれますが、おおまかなところはきれいになっても、隅々までは行き届かない。そこで、その部分を補充するという役割で、スティックコードレスを買うという人も多かったんです。
──ということは、なかにはロボットクリーナーとスティックコードレスを同時に買う人も?
そういうこともあったようです。少し前まで、スティックコードレスの価格は1万円程度でしたから、ロボットクリーナーを購入したときのポイントで買えたりしたんですよ。もちろん、まずロボットクリーナーを購入し、使っているうちに細かいところを掃除する掃除機が欲しくなって、後から購入するというケースもあります。
──スティッククリーナーにはコードレスとコード付きがありますが、どちらが売れているのでしょうか。
最近は、特にコードレスの売り上げが伸びています。全体を100としてみると、2010年にはコード付きスティッククリーナーが88%で、コードレスが12%でした。しかし2014年にはコードレスが54%と、初めてコードレスの売り上げ台数がコード付きを上回ったんです。
ダイソンのコードレスがブームのきっかけに
ただ、買ってはみたものの、以前のスティックコードレスは使用時間がとても短いうえ、あまりパワーも無かった。その不満が出始めた2013年、タイミングよくダイソンのコードレスが出てきたんです。ダイソンのコードレスは当時ハンディイータイプで4~5万、スティックタイプは6~7万でしたから、他の機種と比べるとかなり高い印象でした。しかし、それまでのコードレスに不満を持っていた人達が「高くても、本当に吸うのであれば」と購入し、使ってみた結果、「格段に違う!」となって、それが口コミで広がりました。
こうして、価格が高くても吸引力が強ければ売れるということをダイソンが証明してみせたものですから、国内メーカーは「それではうちもやろう」ということになり、新製品の開発を始めました。その結果、今これだけの新製品が出そろってきているんです。