共働き世帯にとって保育園や学童の運営など、子育て支援を担う自治体は頼りになる存在であってほしいもの。このたび日経DUALでは、読者に代わって、自治体の首長への突撃インタビューを開始しました。最初は東京23区に取材を依頼し、区長に質問をぶつけます。

「葛飾区長 保育園定員を毎年200~250人分増員」では、葛飾区の待機児童問題への取り組み、保育時間の延長や病後児保育へ対応のほか、花いっぱい運動、小1~6の放課後の遊び場づくり「わくわくチャレンジ」など、人と人とのつながりによって子育てを支援する街づくりについてお伝えしました。今回は、河川敷という土地を活かした取り組みや、現場を回って、区民の“声”に答える青木克徳区長のお話をお届けします。

青木 克徳 区長

1949年岐阜県生まれ。67年4月に葛飾区役所入庁。96年4月に地域振興部長、2003年4月に政策経営部長、2006年1月に収入役に就任し、2009年12月から葛飾区長を務める。

河川敷で少年野球や凧上げ、マラソン大会も

青木克徳・葛飾区長
青木克徳・葛飾区長

DUAL編集部 地域で子どもを育てる、という流れが最近になってまた強まってきていると感じます。葛飾区の地域特性を生かした“子育て力”を上げる施策について教えてください。

青木区長(以下、敬称略) 葛飾区には、荒川、江戸川、中川、綾瀬川など、たくさんの川があります。河川敷には野球場があって、少年野球が盛んです。2013年は中学生の東京都大会で、葛飾区の青戸中学校が優勝しました。その他、凧上げをしたり、ボートレースが行われたり、荒川の河川敷では、先日マラソン大会が行われました。

 区民の方が「葛飾の川をきれいにする会」をつくってくださり、川の水をとってどれくらい汚れているかなどの検査をして公表しています。みんなで河川敷のゴミを拾うなどで、川の水をきれいにする活動が広がっています。川がきれいになると、川のそばでイベントが行われますし、住む人もきれいな川のそばに住むのはうれしいもの。川も自然の一部ですから、人や自然のいいところを活かしていくことで、区民にも外から来られた人にも、優しい街になるのではと思っています。

下町らしいお祭りも、地域の“子育て力”につながっていく

青木 葛飾区には下町らしいお祭りがたくさんありますが、これも地域の“子育て力”につながっていくと思っています。夏には盆踊りもあります。高齢者だけでなく、子どもも、お父さんお母さんも、若い人もたくさん集まります。区全体で町内会が240近くあり、それぞれ自主的に行っています。防災にも自分達で取り組もうとしていて、人と人とのつながりが誇れるところですね。お祭りなどで顔を合わせていれば、いざというときに助け合うことができますし。

 私は、それを“協働”と呼んで、区の計画にも入れてメーンテーマにしています。地元の方々、そして葛飾は中小企業の街ですから、企業の方々も。私達行政もみんなで力を合わせて街を良くしていくことを目指しています。

 そういうこともあって行政側としても、きちんと情報公開をしていきます。万一不祥事があっても、決して隠すことなく、公開する。これは、区の職員にも強く言っています。

 地域における様々な活動については、強制はしていません。それぞれが、好きなことをやってもらう。区が主導になるのではなく、区はサポート役となって、地域の皆さんに声を掛け、一緒にやっていこうという姿勢です。