世界のスーパーワーママを紹介するこの連載。第3回はフェイスブックのCOO(最高執行責任者)、シェリル・サンドバーグです。アメリカでもまだ少ないIT企業の取締役として、2人の子どもを育てながら活躍を続け、自著『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』(日本経済新聞出版社刊)は全世界で150万部を超えるベストセラーになりました。
 そんな彼女の成功の秘訣はフェイスブック社の壁に貼ってあるポスターにあります。そこに書かれてあるのは、「怖がらなければ何ができる?」「完璧を目指すより、まず終わらせろ」の文字。彼女の姿勢から、家事に仕事に多忙なワーママ達の心をすっと軽くしてくれる考え方を学ぶことができます。

 注目度が高い企業の経営者というだけではない。「アメリカ女性のリーダー」とも言われているシェリル・サンドバーグ。当然、発言内容も頻繁にメディアで取り上げられる。2012年にはタイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれるなど、その華やかな存在感はアメリカ国外からの関心も集めている。

男女の枠組みが女性のキャリアを阻む

 ところが、過剰な注目のされ方に、シェリルはけげんな表情だ。

 「どうやって成功を成し遂げたの? ベビーシッターはいるの? 料理は誰かにやってもらっているの? こうした質問をよくされるのですが、それは私が女性だから。男性なら同じことを聞かれないでしょう」(英ガーディアン紙、2014年のインタビュー記事で)

 私達は無意識に「男性は何ができて、何をすべきか」「女性は~」といった、ステレオタイプな社会的期待をかけていないか。そして、頭のなかにある男女の枠組みが女性のキャリアを阻んでいるのではないか。こうした疑問をシェリルは、著書や講演などを通して社会に訴えている。

 自分の経験を通して、キャリアを持ちたいと望む女性の背中を押す「新しい時代のフェミニスト」でもある。

ハーバード大学で卒業生に祝辞を贈るシェリル。2014年5月
ハーバード大学で卒業生に祝辞を贈るシェリル。2014年5月