時短勤務で復帰した体験エピソードから学ぼう

 ここでは時短勤務で復帰した2人の体験エピソードを紹介します。ぜひ参考にしてください。

【復帰直後は時短勤務、3カ月でフルタイム復帰】
T・Tさん(35歳、正社員、電気・事務)

 〝時短〟は自由に取得できる権利だと思い込んでいました。復帰前に時短勤務の申請をしたところ、直属の上司はOKだったのに、部内の最終承認をもらう段階でまさかの却下。「社員の中に朝出社していない人がいると、指示系統が乱れるから駄目だ」と。却下は違法では…と思いつつ、事前に相談しなかった自分の失敗だったと反省しました。その後、何とか時短制度を利用でき、子どもとの時間を確保することも考え、退社時間を定時の1時間前にして申請。仕事内容は、50人近いメンバーの事務処理担当です。私一人だけなので、休んだり早退したりした際の仕事を先輩にお願いすると、仕事量が多過ぎて仕事が終わらないこともあったようです。
 男性が多い職場なので、定時に帰る人はゼロで、明け方まで働いている人も多数います。そんな職場環境で時短制度を利用して帰るのは、正直、みんなの視線が痛かった…。そんなある日、別の部署の女性の先輩から「あなたが早く帰るとみんなが困る。私はあなたの仕事の代わりはしたくない。あなたが解決する問題でしょう」と言われたんです。
 この言葉は、かなりこたえました。「そんなに言われてまで、私は時短に執着したいのだろうか」「職場から自宅は近い。フルタイムでも保育園を延長すれば何とかなるかも」と考え始めました。
 夫に相談すると「ストレスをためるのは良くない。自分の体を一番に考えながら、やれるところまでやってみなよ。協力するから」と。結果、3カ月ちょっとでフルタイムにしました。心配してくれた上司には「私が働きたいから」と説明しました。
 今となっては、時短勤務をやめて良かったと思っています。フルタイム勤務に戻っても、子どもと過ごす時間はそれほど減っていないように感じるし、家事の大変さは以前と変わりませんから。
 最近は、会社の制度や世の中の流れが変わり、定時退社が推奨され、以前に比べるとだいぶ働きやすくなりました。フレックス制度も導入され、出勤時間の融通を利かせられるようにもなりました。忙しいときは保育園を20時お迎えにして残業したり、夫にお迎えに行ってもらったり。思いきってフルタイム勤務に戻して良かったなと思っています。

【時短勤務のデメリットを調べておけば良かった】
M・Yさん(33歳、正社員、金融・営業)

 私は今も時短勤務で働いています。育休から復帰する際、人事面談で「時短勤務」を勧められ、あまり深く考えずに時短勤務を選びました。驚いたのは、給料が低かったこと。また、時短勤務の間は昇級・昇進もできないと知り、モチベーションが下がりました。総合職として働き続けてきたのに、現在は今までで一番待遇が悪いように思います。時短勤務を考えている人は、給料や人事評価についてしっかり確認したうえで選んだほうがいいと思います。
 一方、時短勤務で助かっている面もあります。私達夫婦はともに地方出身。近隣には育児・家事を頼れる身内がいません。基本的には夫婦2人で家事・育児をしなければならないので、帰宅時間が早い時短勤務を選んだことで何とか乗りきれているのです。気をつけていることは、「短い時間でもミスなく、業務を仕上げること」。繁忙期には昼休みを削ったり、残業したりして、職場に貢献するようにしています。自宅に会社貸与のパソコンがあるので、子どもの就寝後に仕事をすることもあります。通勤時間に資格の勉強をして合格したときには、部長から「よく頑張った」と初めて褒めてもらいました。

(監修/河野真理子 『共働きファミリーの仕事と子育て両立バイブル』より)

もっと詳しく読みたい方は…

共働きファミリーの仕事と子育て 両立バイブル

『共働きファミリーの仕事と子育て 両立バイブル』
(日経DUAL編/日経BP社)1200円(税別) 電子書籍も出版しました

 一家に一冊、共働き家族を支える必需バイブルとして置いていただきたい…。そんな思いで作りました。『日経DUAL』で読者のみなさんから大反響をいただいたノウハウ記事や著名人の感涙エッセーを収録。妊娠・育休から職場でのやり取りや共働き夫婦の働き方、子育て社員の昇進・昇格、保活必勝法、保育園との付き合い方、きょうだい別の子育て、小1の壁の乗り越え方、学童保育の選び方&通い方、貯蓄法まで、共働きファミリーが主人公の「共感あるある!」漫画とともに分かりやすく解説します。

 仕事も育児も…頑張るママとパパのために、共働き子育てライフを楽しみ、課題を乗り越えるための知恵をぎゅっと詰め込んだ、共働きファミリーのノウハウ決定版です!

●日経BP書店で買う人はこちら
●Amazonで買う人はこちら
●日経ストア(電子書籍)で買う人はこちら