私生活では出産・育児、仕事場では大抜てき
羽生祥子日経DUAL編集長 27歳で結婚し、29歳で出産なさいました。生活や仕事にどのような影響がありましたか。
小林照子さん(以下、敬称略) 仕事を辞めるつもりは全くありませんでした。むしろ子どもが生まれたころから、さらに意欲が湧いてきたくらい(笑)。メークアップは流行を生み出していく仕事。例えば、「育児休暇を取って半年現場を離れてまた復帰しよう」というのはなかなか難しいし、そもそもそんな制度もありませんでした。
子どもを産んで預け先を探すのに大変な思いをして、本当にてんてこ舞いだった時期に、本社が移転することになりました。その機に新設されたマーケティング部門の中に、美容研究室ができることになり、そこに私が抜てきされたのです。
理由は、私が「コーセーにはいいメークアイテムが無い」と、ずっと文句を言っていたから。「晴れてメークアップアーティストになれたときに、使いたいものが無いじゃない!」と。マーケティング部門のトップと話すときはいつも文句ばかり言っていました。「褒めるところはないのかよ~」と苦笑いしていたその部長が、私を抜てきしたのです。