「『会社と家庭、どっちが大事?』と聞かれたら、これまでは『どっちも大事です』と答えたと思うんです。でも、本音では家庭のほうが大事に決まっていますよね。これからは、その当たり前の本音を言えるようになってほしい。本当はそう思っているけど言えない人が、僕と同年代の部長級の人には多いですよね」

 このトークイベントには、私の高校時代の親友が来てくれたのですが「こういう人が増えてくれたらいいねえ」と言っていました。本当に、すべての部長が境さんみたいだったら、社員は生き生き働けるし、子どもも増えると思います。

 最後に、「赤ちゃんが増える社会にするために、どうしたらいいでしょう?」という問いに対し、境さんはこんなふうにアドバイスします。

女性は夫にもっと「あれやれ、これやれ」と言っていい

 「口に出して言ってください。女性は、夫にも、『あれをやって』『これをやって』と言ってください。妻が全部一人でやっていると、夫は『一人でやりたいのかな?』と思って手を出しにくいです。そして、男女ともに会社でも、どうしてほしいか、言ってください。意外と要求って通ることも多いです。一人で言うのが怖ければ、たくさんで言ってください」

 制度や文化の問題は確かにたくさんあるけれど、それを作っているのは人間だから、変えたい、こうしたい、と思った人がそれを言うようになれば、ちょっとずつ良くなるはず。ちょうど、境さんの記事に励まされて「いいね!」を押した人が17万も集まったように、あなたがちょっと勇気を持って一言言えば、変わることがあるはずです。

今の50代は一昔前の上司世代とは実は違ってきている

 最後に、DUAL読者向けに境さんからメッセージを頂きました。

 「現役パパ・ママの皆さんにお伝えしたいのは、今の50代は一昔前の上司世代と実はかなり違ってきている、ということです。会社漬け人生に実は疑問を持っているし、家庭を大事にすべきだったかなと反省もしている。育休のことなど真摯に相談すれば、きっと前向きに受け止めてくれるはずです。一度でダメでも二度三度と話してみてください!」

 「今の50代は一昔前の上司とは違う」……。すごく希望が持てるコメントだと思いませんか? 「赤ちゃんが増えるために」何をすればいいか、皆さんご自身でも一度考えてみてはいかがでしょうか?

紀伊國屋書店でのトークイベントの様子
紀伊國屋書店でのトークイベントの様子

この記事の関連URL
境治さんの著書 『赤ちゃんにきびしい国で、赤ちゃんが増えるはずがない。』
ハフィントンポスト上の記事
 「赤ちゃんにきびしい国で、赤ちゃんが増えるはずがない。」
  http://www.huffingtonpost.jp/osamu-sakai/baby-japan_b_4648685.html