ベビーカーを電車に乗せるなとか言ってるから、子どもが増えない

 この記事には「いいね!」がなんと、17万も集まっています。ちょっと引用します。

 「赤ちゃんを飛行機に乗せるなとか、ベビーカーを通勤電車に乗せるなとか、何を言っているのだろうとぼくは思う」

 「赤ちゃんを、飛行機に乗せるのはいかがなものか。周りに配慮して自分のクルマで移動すべきではないか。ベビーカーで満員電車に乗るべきではない。通勤時間に移動する時はタクシーに乗るのが正しいのでは。そんなこと言ってるから、子供が増えないのだ」

 筆者は1962年生まれのコピーライターさん。いわゆる広告マンです。「子ども業界」の人ではないのに、ここまで子どもの大切さを理解して、しかも分かりやすい言葉で書いてくれているのを読んで、私は感動してしまいました。この記事の筆者・境治さんが本を出されて、このたび、トークイベントの対談相手としてお声掛けいただきました。「やったー!」と思いました。会場は紀伊國屋書店新宿南店。ここから先は、境さんのお話のエッセンスをお伝えします。

『赤ちゃんにきびしい国で、赤ちゃんが増えるはずがない。』の表紙
『赤ちゃんにきびしい国で、赤ちゃんが増えるはずがない。』の表紙

 『赤ちゃんにきびしい国で、赤ちゃんが増えるはずがない。』

 何度読んでも「そうだ、そうだ!」と思うタイトルですよね。ハフィントンポストの記事にも、同じ気持ちの人達から、たくさんの反応が寄せられたそうです。

 「『よく言ってくれた!』とか、『海外と比較して日本では子育てがしにくい』という女性から、たくさんご意見を頂きました」と境さん。でも、実のところ、ここまでの反応は予想外だったと言います。

 「たまたま、赤ちゃんについて記事を書いたら、ものすごい反響があって驚きました。僕の専門はメディアで、職種はコピーライターです。子育ては専門外なのに……といまだに戸惑っている、というのが本音です」

 その後、境さんは応援の声に押されるようにして、子育ての現場を取材し始めます。その一部はハフィントンポストに書かれ、本にも収録されています。

 境さんが取材する保育現場は、「いいなー、それ。楽しそう」と思うようなストーリーに満ちています。例えば、共同保育や自主保育の取り組み。実は30年前からあった「保育園足りない問題」に直面した親達が、自分で作ってしまった保育の仕組みです。それから子連れで働けるスペースなどなど。読んでいると楽しく明るい気持ちになってきます。