老後資金の積み立てに有利な「個人型確定拠出年金」
例えば、あなたがこんな勧誘を受けたらどうでしょうか。
「うまい資産形成の方法がありますよ。あなたが年に81万6000円貯金したとします。すると、あなたの所得次第ですが、半分の40万8000円を、ご褒美に差し上げることもあります。やってみませんか?」
話がうま過ぎる!と思いますね。「そういうおいしい話には、絶対乗らない」と考えるのが、むしろ正しい態度です。しかし実は、この通りのおいしい話があるのです。それは個人型確定拠出年金という、れっきとした国の制度です。
制度の概要は、表Aを見てください。この制度の対象は、現在、自営業者と、企業年金の無い会社に勤める会社員に限られています。まず、個人型確定拠出年金で運用する金融機関を選び、預貯金や投資信託など、自分が選ぶ金融商品で毎月掛け金を運用します。掛け金の上限額は自営業者で月6万8000円、会社員で月2万3000円。運用の成績次第で、60歳以降に自分が受け取る年金の額も変わってくるという制度です。
政府は、2014年末に発表した税制改正大綱で、この個人型確定拠出年金を大幅拡大する案を打ち出しました。この改正では、現在対象外とされている公務員や、企業年金のある会社に勤める会社員、専業主婦なども対象とし、全体に広げるというのです。これは事実上、「個人型確定拠出年金を、自助努力で老後資金をつくる制度の柱として位置付けます」という態度表明でしょう。実際に税制優遇は手厚く、老後資金をつくるには極めて有利な制度なのです。