支援が必要な子を見極める
ダイジェスト版の研修の後、参加者から様々な質問が出されました。
赤坂さんには今でも心残りがあると言います。
「被災地の避難所でのことです。『もうすぐ小学校が始まるけど、津波が怖くて行きたくない』『早くがれきが撤去されないかな。うちのおじいちゃん、まだ出てきていないんだよね~』『一番仲のいいお友だちは、津波で流されちゃった子』といった子ども達の言葉を聞いたとき、当時の私は何と声を掛けてあげたらいいか分からず、答えに詰まってしまってばかりでした。震災後にPFAを学び、あのときは『そうなんだ』『そうだったんだね』と子どもが話したいと思っているときは傾聴することが大事だったと思うようになりました」
「また、こんなこともありました。私達が避難所に開設した『こどもひろば』には、毎日たくさんの子ども達が来ていました。その中には気になる子どももいましたが、誰に相談してつなげばいいのか分かりませんでした。避難所には1000人以上が過ごし、人の出入りも多く、支援者同士の情報共有が不十分だったのです。後になって、避難所の子ども達の様子を知るために、専門家が『こどもひろば』を訪れていたことを知り、気になっていた子どもを専門家につなぐことができればよかったのに、と思いました」
「つなぐ」を広げるため、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所、災害時こころの情報支援センターと共に「子どものためのPFA」の国内での普及を進めています。また、「子どものためのPFA」に関する研修も不定期で開催しています。いざというとき役立つように、私達も「見る」「聴く」「つなぐ」の3ステップを心に留めておきたいですね。
(ライター/阿部祐子、撮影/鈴木愛子)