東日本大震災が起きてから、丸4年が経とうとしています。もし今、大災害が起こったらどうすればいいのでしょうか。自分の身を守るだけではなく、わが子や地域の子ども達をどう守ってあげるかは、親である私達世代の責任でもあります。災害や事故、事件の現場での子ども達のショックや精神的なダメージは計り知れません。しかし、ボランティアとして、また一人の大人として、現場で子ども達にアプローチをするには、適切な方法があるのです。

その中の一つに、国連に公式承認された子ども支援専門の民間の国際組織「セーブ・ザ・チルドレン」が、世界の緊急・人道支援活動に用いられる心理的社会的ケア「PFA」(Psychological First Aid=心理的応急処置)を基盤に作り上げた「Psychological First Aid for Children(子どものためのPFA)」というものがあります。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが開催した、この要点を学び、交通事故や火災などの緊急時に、ストレスを抱えた子ども達への対応に役立てる目的で行われたセミナー(ダイジェスト版)の模様をリポートします。

想像以上のダメージが子どもには残る

 「もうすぐ小学校が始まるけど、津波が怖くて行きたくないよ」という小学6年生の男の子。誰とも交流せず、避難所の隅でうずくまる6歳の女の子。「早くがれきが撤去されないかな。うちのおじいちゃん、まだ出てきていないんだよね~」「あ、うちも、おばあちゃんが出てきていないよ」と普通におしゃべりしている女子高生達。子どもと積み木で遊んでいたときに、「一番仲のいいお友だちはだれ?」と何気なく聞いたら「津波で流されちゃった子」と返されたこと。

 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、東日本大震災復興支援事業部、プログラム・スペシャリスト、赤坂美幸さんが東日本大震災発生直後から被災地支援の現場での経験を語り出します。

東日本大震災を振り返る赤坂さん(右)
東日本大震災を振り返る赤坂さん(右)

 「災害直後の子ども達の言葉にどう反応したらいいのか? そのたびにスタッフは悩み、仲間と話し合い、また現場に戻るという状況でした。年齢によって、掛けるべき言葉や反応が異なってくるのも悩みどころでした」と赤坂さん。

 「そして、2013年11月、『子どものためのPFA』がデンマークで開発され、私はすぐ指導者育成研修に行きました。これはWHO版PFAの内容を踏まえつつ、子どもに焦点を当てた内容となっています。ここでいう子どもとは、0歳~18歳未満を指しています。個々人の認知発達段階を理解することで、よりその年齢に合った、緊急時のコミュニケーションが可能になります」