晩婚化、少子化が進んで、仕事と子育ての両立に悩むのは30代から40代にかけて。組織での発言力もある程度持つようになってやっと具体的に行動を起こせるようになったのがちょうど団塊ジュニア(いま40歳前後)を中心とする世代の人々じゃないかと思う。
そろそろ、窮屈なお下がりを脱がなくちゃ
政策的にも少子化対策や労働人口の維持は課題だし、女性が輝くという上滑りな表現はともかくとして、働き方の多様化がテーマとなったことで、いろんな職場で10年前よりは発言がしやすくなったのは確かだろう。一応耳を貸すけどやる気ゼロ、みたいな粘土層はまだまだしぶといけど、団塊ジュニアを中心とする世代は数が多い。人数が多いということは、世の中を変える力があるということだ。
この世代、ずっと「人数は多いけど影が薄い」とか「つかめない」とか言われてきたけど、それってつまり、それまでのような分かりやすい群れ方ではなく、自分にとっての幸せってなんだろう? ってずっと模索して来た潮目の世代だと言うこともできるんじゃないかと思うのだ。私は「空手形世代」って勝手に呼んでいる。
「いい学校に入っていい会社に入って上の言うことを聞いていれば幸せになれる」という親世代の成功体験と、子どもの頃に見たバブル世代の狂乱と、そのどっちの祭りも右肩上がりの未来図を描いて「だから今は我慢しろ」って私たちに言ったのだ。だから子ども時代をすり減らして厳しい受験戦争をくぐり抜け、安泰な未来を手に入れるべく頑張ったのに、いざ世の中に出てみたら時は就職氷河期。祭りはとっくに終わっていたとさ……そりゃ、うかつに踊らなくもなるよ!
で、ずっと考えて来たのだ。じゃあ、幸せってなんだろう? 誰が与えてくれるのかな? って。それで充分大人になった今、自分でやればいいって気がついたんだ。ずっと時代遅れのお下がりばかり着て来たけど、そろそろ自分の服を作ろう。社会をカスタマイズしなきゃ、って。
「焼け野原から経済大国になった日本は、滅私奉公で働き、みんなで同じように幸せになるというやり方で豊かになった。おかげで私たちも親の世代よりも恵まれた子ども時代を過ごすことができました。ありがとう(涙)。でも、そのかつてはうまく機能した働き方や幸福観は、今では人を追い詰めるだけになっている。だって、時代が違うからね。だから、感謝はするけどもう義理立てはしない。私たちは、新しいやり方を作る。これから40年を生き延びるために!」って、今私たちが言えば、それは大きな世論となり、それぞれの持ち場で取り組んで、実際に世の中を動かすことができるだろう。
制度を変え、常識を変えることができる。前例の踏襲で課題を先送りするのではなく、現実的な解を探さなくちゃ、もう私たちは生きていけない。人口のボリュームとしても、それができる最後の世代だと思う。