再就職をしようと考える人たちに向け、実用的なスキルを教える2日間の無料セミナーがあります。1日目を紹介した前回(「再就職のプロが指南『面談6秒で決まるポイント』」)に続き、今回は2日目に行われた講義に参加してみました。

 主婦の就職支援を行うビースタイルが、厚生労働省認定のキャリア・リターン応援制度に基づいて行う2日間の無料セミナー。1日目は、参加者の能力を再確認しながら、「自分に合った職種の選び方」「魅力的な履歴書の書き方」「面接時の注意事項」などを勉強しました。2日目は、どんな授業が行われるのでしょうか。

企業が求める主婦の「総合力」とは?

 セミナー2日目は、1日目のセミナー内容を掘り下げた実践的なワークが中心となります。この日は面接ファッションのチェックも行うため、30代~40代の5名の参加者は、面接時に着用する予定の服装で授業にやってきました。見た目こそかしこまっていましたが、初日のセミナーですっかり打ち解けたこともあり、2回目の顔合わせとは思えないほど和気あいあいとした雰囲気の中、授業はスタートしました。

 「キャリアの語源は何だと思いますか?」

 2日目の授業は、講師であるキャリアカウンセラー和田宮子さんからの、そんな問いかけで始まりました。

講師のキャリアカウンセラー・和田宮子さん
講師のキャリアカウンセラー・和田宮子さん

 「馬車を“今”としたとき、未来に向かって進むと過去には車輪の跡ができますよね。その轍がキャリアです。休職期間はキャリアブランクといわれますが、実際は妻や母親という立場での経験が轍になっています。企業はそこで身につけたスキルを求めているので、ブランクが再就職に不利だということはありません」

 主婦は、妻や母親といった家庭での役割のほか、子どもの学校などでの役員、近所づきあいや地域活動などの近隣交流、自身や夫の両親からみた娘など、さまざまな役割を担っています。いくつもの役割を果たしてきたことで、それぞれに求められるスキルが身につくことから、「主婦が持つ能力は“総合力”と呼ばれている」と和田さんは強調します。

 その総合力を知るために必要なのが「キャリアブランクの棚卸し」です。

 これは、現時点での自分が行っている役割、それぞれの立場で行っている作業の内容を細かく書き記し、そこから主婦時代に身に着けたスキルを見つけていく作業です。

 例えば“妻”という役割では「毎日ごはんを作る」「家計管理」などが挙げられます。「毎日ごはんを作る」作業では継続力や段取りの良さ、食べる人を喜ばせたいというもてなしの心などが養われているそうです。「家計管理」ではマネージメント能力はもちろんのこと、稼ぎ手に感謝する気持ち、欲しいものがあるときに夫を説得するプレゼン能力なども身についているとのこと。

 参加者は隣同士で書き込んだワークシートを見せ合い、気付いていないスキルを見つけあって、秘められた能力を見出していきます。また、働きはじめるために必要な環境について、家族の理解や育児・介護にまつわる緊急時の対応などそれぞれの不安を開示し、お互いにアドバイスし合って解決策を探すディスカッションも行いました。