自分で意識しなければ、大人は成長できない

 ここで、「社会人の成長」について話をする。子どもは「来年は6年生だからリーダーやで」とか「もう中学生だから自分の行動に責任を持て」と、周りに成長を後押しされる。そして、脳も体も実際に成長していく。

 しかし、社会人は違う。

 成長の指針が明確ではなくなる。だから、自分で自分を叱咤激励しなければ、成長が止まってしまう。それどころか老化に伴って、かつてできたことができなくなる。1日8時間以上を仕事に費やしながら、現状維持だけなんて悲しい。そして、緩やかに退化していることに、気づかない人もいる。最近、論文やデータが頭に入りにくくなってきた。危ない。

 時々、目を覚ますために読む詩がある。茨木のり子さんの『汲むーY.Yにー』という詩だ。

あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと……

 私のアンテナは、震えているだろうか。校長としての任期は、3年しかない。あと1年と少し。「経済格差を教育格差にしない」を使命に飛び込んできた中で、何がやれたのか。そして、どこまで残りの期間でやれるのか。自問自答する。

 6年生が、卒業まで100日を切ってから、ますます成長している。まぶしいほどだ。子ども達の前に立つ大人が、学び続け、成長する姿を見せることが「大人になりたい」動機付けになる。

 ……明日も、いい仕事をしよう。