弁護士のPTA理解は浅い

川端 例えば、弁護士のPTA理解って、本当に浅いと思うんです。僕は、何度か自治体主催の法律相談の場で話を聞きましたが、たいてい「PTAについてはよく分からないので逆に教えてください」と言われて、相談しにいったはずの僕が弁護士相手にレクチャーする羽目になる。「法テラス」に行ってみた時も、「追加料金は要りませんから教えてください」と引き留められました。

 ママさん弁護士さんから「PTAは大変よね~」と共感してもらうことはあっても、そこまでです。最近、やっと変わってきた気がしますけど。

行政側の担当者が開口一番で言う言葉は、「PTAは任意の団体」

川端さんの著書『PTA再活用論―悩ましき現実を超えて』
川端さんの著書『PTA再活用論―悩ましき現実を超えて』

―― 活動するなかで一番最初に「ここはおかしい」「変えよう」と思ったのが、「任意加入のはずなのに実質的な強制加入になっている」ということだった、と。

川端 僕がやろうよと言っていたのは、「何のためにやっているのか分からない業務が多いから、やっている人が納得できる活動にしようよ」っていうのと、「社会の原則をきちんと押さえた運営をしよう」ってことですね。で、そのためには強制加入の問題が前面に出てくるんです。それまで、あまりに省みられなかったことなので、そう発言しただけでみんなびっくりして。

 でも、行政は分かっているんですよ。自治体の教育委員会の社会教育主事に連絡して「PTAって何なんですか、これ」という相談をしました。アポを取れば、ちゃんと会ってくれます。それで、開口一番に「PTAとは任意の団体で、強制加入ではありません。当たり前です」と言われます。

―― 拍子抜けしますよね。任意加入だと周囲に話したときの反応はいかがでしたか?

川端 当時のPTA役員は誰も知りませんでした。おかしいから変えるべきだって、企画書みたいなものを書いたりもしました。でも、「うちの地域では難しい」みたいな反応でしたね。そんなこんなで目立ってしまったせいで、3年目になる時に「副会長やります」と言うと、そのときの副会長やら役員選出委員長やらに呼ばれて「あなたのような考えの人は副会長になるべきではない」と2~3時間かけて説得されました。

―― それも絶句するような話ですが……。それを押して副会長になったのですよね。

川端 モチベーションとしては、「自分の子どもの代にこのままの形のPTAを残したくない」という思いがありました。「変えられるかも」って希望的な観測も持っていました。後に『PTA再活用論』という本を出したくらいですから、「なんとかうまい着地点があるんじゃないか」って、思ってました。