PTAの活動は任意。にもかかわらず、暗黙に強制参加させる暴力性を持つ

川端 PTAは、僕がそれまで持っていた常識や世界観を根底から覆すような組織だったわけです。あとで結構あちこちで似たことが起きているとに気づいたんですが、僕の子どもが通っていた小学校のPTAは、本人の意志を確認せずに、みんな入会させちゃうんです。「ええっ、いつ自分は入ったんだ?」というふうに。強制的で暴力的と感じました。そして、みんなが裏で文句を言いながら、表では何も言えなくなってしまう空気も。

 「PTAは民主主義の学校」なんて言われるんですが、異論が許されないどころか、発言自体が歓迎されないことが多いんです。最初の総会で手を挙げて質問したら、「ここは話し合いの場じゃない」と言われたり。不条理、理不尽なことが非常に多く、今までの人生経験の中で、一番、民主的じゃない団体でした。「自分の信じていた世界はなんだったんだ」って思うほどの衝撃でした。

―― 川端さんは「役員選考委員会」の次に「家庭教育委員」。その後、本部役員である副会長を2回経験されています。世界観を根底から覆されるような衝撃とは、具体的にはどのようなものだったのでしょうか?

川端 やっぱり代表的なものは委員や役員決めのシーンですよね。「子どもが小さいので」「仕事が忙しいので」「介護があるので」と、正当な理由があって委員や役員を引き受けることができない方もいるわけですが、どうしても決まらないと「これまで一度も委員をやっていないAさんとBさんは、なぜ引き受けられないのか、理由を述べてください」と詰問されたりもする。実際のところ、自分がデリケートな病気を抱えていて治療で大変な人だっているでしょうに、“プライベート”な話を他の保護者の前でしろというわけです。

 親になればだいたいPTAを経験することになってますよね。これが少なくともこの半世紀は続いているわけです。その中で極端に人を追い詰める“人権問題レベル”のこともたくさんあったと思うんです。会員の中には、人権派の弁護士、人権派ジャーナリストにも経験者がいたはずなのに、みんなそれを素通りして、表立って問題にはしてきませんでした。もちろん、小さな発言はあります。でも、継続的な「おかしいぞ」という声が育ってこなかった。