また、保育園に通う低年齢期では「食べられるようになった」「食物アレルギーであることが新たに分かった」など、一年の内で変化が大きいものです。園生活の途中で、除去していた食べ物が食べられるようになった場合、その都度、医師の診断書を提出するのは現実的ではありません。「除去解除」を医師から指導されたら、親が書面にして園に提出すればOKです。

学校では「給食のお代わり」による事故が多発。二重三重のチェックを

 食物アレルギーの3大アレルゲン、卵・牛乳・小麦は9割の子どもが6歳までに克服しますが、小学校入学時にまだ耐性を獲得していない子や、他のアレルギーを持っている子も含めると、学童期以降で食物アレルギーを持つ人の割合は1.5~3%と言われています。小学校での対応は、入学時にきちんと食物アレルギーの診断がついていることが前提となってきます。

 2012年に東京都調布市の小学校で、乳製品アレルギーを持つ当時5年生の女子児童が、誤って給食のチーズ入りチヂミをお代わりしてしまい、アナフィラキシーショックで死亡する事故が発生しました。学校が除去食を用意していたにもかかわらず、お代わりで通常の給食を食べてしまったこと、エピペン(R)を適切なタイミングで使用できなかったことなどの不幸が重なりました。

 この日の献立のメニュー名は「じゃがいものチヂミ」。もし、「チーズ入り」と書いてあれば本人も気をつけることができたはずです。また、エピペン(R)を携帯するほど重症のアレルギーの子どもが通う学校で、月のうち半分の献立に、チーズの練り込みの献立があったことも問題です。これは学校単位ではなく、自治体の責任だと思っています。

 このような事故が二度と起きないよう、校長・園長、担任・保育士、養護教諭、調理師、栄養士の関係者全員で、食物アレルギーに関する正しい知識とアナフィラキシーが起きたときの対応を確認しておきます。
 とくに、給食のお代わりは確認が漏れやすいので、食物アレルギーの子どもはお代わりをしなくてもすむように最初から大盛りにする、お代わりをするときはルールを決めておくなど、二重三重のチェックが入るようにします。

 アレルギーのある子もない子も、みんなが共通に食べられるメニューを週1回は提供したり、チーズを練り込んだときは「チーズ入り●●●」と献立名に明示するなど、ミスを想定したリスクマネジメントも園や学校側に求められます。

 園や学校ができる給食の対応は以下の4つです。

(1)代替食…除去した食物の栄養や品目を他の食物で補った給食。最も理想的な対応。
(2)除去食…原因食物を給食から除くだけの対応。栄養面で偏る場合も。
(3)弁当持参…毎回弁当を持参する場合と、献立によって弁当を持参する場合がある。保護者の負担が大きい。
(4)献立表…事前に献立表を保護者に渡して確認してもらう。調味料など細かい材料も記載する。ただし、これだけで事故を防ぐのは困難なので他の対応策と組み合わせる。