能力のある女性は女性からも敬遠される

 あるリサーチによると、男性の場合は社会的な成功の度合いと周囲に好かれる度合いは正比例している。けれど、女性の場合は社会的に成功すると逆に嫌われる、というデータがあります。シェリルは著書で、「アビリティー・ペナルティー」という言葉で表現していまして、能力の高い女性は嫌われて、損をする傾向がある。しかも男性からだけでなく、同性である女性からも敬遠されてしまうというのが現状です

 そして男性は男性で、「妻が成功することで、なぜ自分が自信を失ってしまうのか」を理解する必要があると思っています。私自身は、皆さんもご存じの通りに大きな成功を収めている妻に、これからももっと成功してほしいと思っていますが、世の多くの男性にとっては、妻の成功がうれしいことではなく、逆にタフなこと、プレッシャーと捉える傾向があるんじゃないかな。

 解決方法の一つとしては、この問題についてメディアでもっとオープンに話し合うことだと思います。こういったインタビューのように。そして何より、共働き夫婦がもっともっと増えていけば、解決に近づいていけるのではないでしょうか。

多くの女性が活躍しないと、男性と女性の平等は成り立たない

――日経DUALでも、夫婦間でのキャリア・年収・家事育児のパワーバランスは、いつも読者から注目されているテーマです。わが家でも同じ。夫も「羽生さんの夫」とは呼ばれたくないようです。そもそも私は旧姓で働いていますしね。 

DAVE それは当然だと思いますよ。旦那さんの気持ちが間違っているとは思いません。ただ男性側が、女性も同じ気持ちだということに気づくことが大切だと思います。私だって、「ミスター・サンドバーグ」とは呼ばれたくないですよ。そしてもちろん妻も「ミセス・ゴールドバーグ」とは呼ばれたくないでしょう。そこは平等であるべきだと思うのです。

 キャリアもそうですが、それ以前に、名前の問題が象徴しているのは、互いを尊重する気持ちが一番大切だということかなと思います

 でもこの問題も、解決方法はやはり、もっともっと多くの女性が社会で成功することだと思います。より多くの女性が社会進出をして活躍することで、より多くの人が男性と女性が平等に扱われるというのがどういうことか、よりオープンな場面で実感として感じられるようになる。今は女性のほうが大変な気持ちを経験することが多いと思いますが、女性の社会進出が進めばそこは解決していくのではないかと思っています。

(構成/Integra Software Services、撮影/花井智子)

Dave Goldberg
オンライン調査会社SurveyMonkey最高経営責任者(CEO)。20代でオンライン音楽配信サービス会社LAUCH Mediaを創業。2001年にYahoo!に売却した後、2006年まではYahoo! Musicの副社長兼ゼネラル・マネジャーを務めた。2007年から2009年までベンチャーキャピタルのBenchmark Capitalに在籍。2009年より現職。

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『LEAN IN(リーン・イン)女性、仕事、リーダーへの意欲』
シェリル・サンドバーグ著、日本経済新聞出版社刊