―― 現在、デイブさんがCEOを務められているオンライン調査会社SurveyMonkeyはどのようなサービスを提供しているのでしょう?

DAVE お客様がとても簡単に、個別のアンケートを作ることのできるサービスです。日本語でもお使いいただける「質問バンク」というサイトも用意しています。このサイトでは、アンケートの専門家が日本で質問されそうな質問を約260問ピックアップして紹介しています。

 非常に多い使われ方の一つが、企業が従業員満足度調査に使う、というもの。うちの会社でも従業員の意見を聞くツールとして活用しています。例えば、パロアルトにある本社では、サンフランシスコ市内から通勤に45分くらいかかるんです。今回の調査により、社員の多くが「通勤が大変だ」と思っていることが分かったため、週に1回は在宅で仕事ができるようにしました。そうすることで、社員は家族と過ごす時間も確保できますし、通勤時間の分だけ長く仕事に打ち込めるようになったわけです。

 あと、楽しいことにも使っていますよ。とある夏、社員旅行の行き先を決めるのにSurveyMonkeyのシステムを使って、一番人気だったラスベガスに行くことに決めました。

SurveyMonkey

オンラインでアンケートの作成から、回答収集、分析/レポーティングまでのソリューションを提供する米国最大手で、2014年末の時点で企業価値20億ドルと言われている。顧客にフェイスブックやサムスン、全日本空輸、良品計画、トヨタ自動車など。1999年創業。日本でのサービス開始は2011年。2014年末からは、米国で提供してきた企業向け調査サービスも開始して本格的なビジネス展開に乗り出している。基本的なサービスは無料で提供し、高度な機能についての料金を課金する、フリーミアムと呼ばれるビジネスモデルを採用している。

社員には仕事の後は自由に時間を過ごしてほしい

「企業の労働スタイルは、優秀な人材を集める重要なファクターだ」
「企業の労働スタイルは、優秀な人材を集める重要なファクターだ」

―― お子様ができてから、ビジネスリーダーとしての意識にも変化はありましたか?

DAVE SurveyMonkeyを率いる身としては、自分が帰った後も社員には残って働いてほしいとは思っていません。それぞれ、一日の仕事が終わったら自由に時間を過ごしてほしいと考えています

 この方針は、実は非常に優秀な人材を採用するうえでも役に立っています。本社のあるパロアルトは、IT系の企業の多いシリコンバレーにありますが、ワークライフバランスを大切にしている会社ばかりではありません。ですので、男女を問わず、家庭生活も大事にできるわが社の風土に魅力を感じる人材が集まりやすいのです。

 現在のプロダクト開発担当リーダーも、SurveyMonkeyの社風に引かれてやってきた一人です。4年前、彼女が妊娠4カ月のときに入社を決めてもらいました。妊娠していなかったら、彼女はSurveyMonkeyには入っていなかったでしょう。ものすごく優秀で、自分で起業しようと考えていたからです。そこで、設立したばかりの会社と新生児の世話の両立は大変だということ、むしろSurveyMonkeyなら、やりがいのある仕事と子育ての両立はしやすいと説得して、入社してもらったのです。以来、彼女は2人のお子さんを産み、子育てをしながら、仕事でも活躍しています。

会社からの押しつけで働かせるのはよくない

 もっとも、ワークライフバランスが大事という以上に、やはり一番大切なのは「会社のフィロソフィー・哲学」だと思っています。我々は非常に優秀な人に働いてもらっているので、皆を信頼してとても大きな責任を個々に与えています

 例えば1つ例を挙げると、わが社には休暇の規定がありません。極端な話、3カ月休みを取ることだってできます。当然仕事の目標は達成しなくてはいけないので、実際に3カ月休んでしまったら、目標達成は難しいかもしれません。ただ、その裁量は個々に任せる形にしています。日々の働く時間に関しても同じです。何時に出社してもいいし、何時に帰っても構わない。逆に「こう働け」と規定するのはよくないと思っているのです