なぜ愛犬をしつける方法を人間に応用しないのだろう

 この言葉には続きがあります。「この方法を用いれば、会社、工場、家庭で効果があり、妻に対して、子供に対して、両親に対して、ほとんど世界中の人間に対して効果がある」――。「人を動かす」ことに関して世界最高峰の人がここまで言い切るのですから、本当に効果がある方法なのでしょう。ダメ夫をうまく操縦するには、まずどんなささいな点でもいいので、相手の長所を見つけて褒めてやることが肝心。その後で、できていない部分を少しずつ指摘してやればいいのではないでしょうか。相手をやみくもに非難しても、態度を硬化させるだけです。

 カーネギーにはこのような言葉もあります。「なぜ自分の愛犬をしつける時に用いるのと同じ方法を、人間に応用しないのだろう。なぜ鞭の代わりに肉を、批評の代わりに賞讃を用いないのだろう」。ダメ夫をイクメンにするには、犬をしつけるような感覚で臨まなければいけないのかもしれませんね。

 しかし、こういう意見もあると思います。どうして妻が夫をしつけなければいけないのか? 妻が夫をコントロールしなければいけないのか。夫は、男はどこまで甘えているのか。自分で自分のダメさに気づき、自分で成長して、自分で家事や子育てに取り組まなければいけないのではないのだろうか? と。

 一方で、先に述べたとおり、「夫とは成長が遅いもの」というのも事実だと思います。コウケンテツさんもDUALのコラムで脳科学の先生の言葉を引いて、妻が母になるスピードと夫が父になるスピードが違うことを紹介していました(「コウケンテツ 妻ラブな僕が最近ハマったモノ」)。ダメ夫がしなければいけないこととは、まず自分が成長の遅い生物だと自覚すること、自分が成長しなければいけない存在だと自覚することなのかもしれません。

おれは助けてもらわねェと
生きていけねェ自信がある!!!

モンキー・D・ルフィ

『ONE PIECE』10巻(集英社)