各園の長所と短所をきちんと把握して比較検討する

 2月に第6希望だった2歳までの認可園の入園承諾を受け取った夫妻は、改めて子どもをその園に入れたいのか話し合った。以前一緒に見に行ったA園のほうが、保育料は高くても子どもを預けたいと思える園だったのだ。

 不承諾通知を受けてから改めてA園に連絡を入れ、空きが出れば入園したい意向を伝えた。その後、無事にA園から入園許可が下り、子どもを通わせられることになって1歳から通園。5歳になった今も同じ園に通い続け、卒園まで認可園に転園させる気はもうないという。

 「もちろんA園にも細かな不満はあります。園庭がない、体操やスイミングのレッスンで保育時間をとられたり、オプション料金がかさんだりすることなどですね。また、若干過保護かもと思える一方で、保育士の質にバラツキがあることも気になります。しかし、それ以上に納得できる安心感と保育、さらに教育があると感じています」と、誠さんは今の保育園に信頼を寄せている。

 子どもは、毎日楽しそうに通っている。40人程度の小さな園だが、0〜5歳児クラスまであり、その信頼感から途中での転園者も少ないそう。イベントも多く、七夕やハロウィン、クリスマスや節分などの行事や遠足はもちろん、食育でクッキングなどもさせてくれるという。親子での参加行事も年に6回はあるという充実ぶりで、他の保護者と交流する機会も多い。

認可に落ちた、そのときから始まる新たな子育て

 里香さんは、保育園を決めるに当たって夫と話し合えたことが良かったと振り返る。

写真はイメージです
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 「大事なのは、父親の姿勢。手伝う、協力するのではなく、共働きなのだから家事や育児の分担は当然だと思います。そういう考えを夫も持ってくれているかは大事ですし、こうして保育園について改めて考えなくてはいけないときにも、一緒に考えることができて安心しました」と、里香さん。一緒に見学した園などに対しても、夫の冷静な視点に気づかされることも多かったという。

 もうすぐ第二子を出産予定の里香さん。夫婦で話し合って、第二子は認可園の入園希望は提出せず、現在上の子が通うA園に絞って入園希望を出す予定だという。認証園であれば、育休中から少しずつ預けて慣れさせることも可能なので、そうしたゆとりも魅力だという。

 多くの園を見学しても、早くから懸命に保活をしても、希望の園に入れないことは多くの人に起こり得る。認可園に落ちてしまったそのときーー。

 認可園でなくてはいけない、という思いから一旦離れて、各家庭の「最優先すべきもの」から改めて話し合ってみる機会にしてみてはどうだろうか。そのときこそ、残された選択肢の中でもあきらめることなく、もう一度わが子にとって安心な保育、子どもに与えたい環境を考え直すチャンスなのかもしれない。

ライター/岩辺みどり