「漠然と認可ならいい、というのではなく、なぜ認可園に行かせたいのか? なぜ認証ではだめなのか? 本当に認可より認証がいいのか……ということも含め、考える必要があるのかなと思いました。認可園が公的な援助を受けているという点では、費用的な面では優位になるのは事実ですよね。ただ、質の面では、そうとも限らないのではないかと思うんです。経済的な負担を軽減させることを優先するのか、保育の質を追求するのか、利便性を追求するのか、話し合うことが大事ですね

 経済面、保育の質、利便性……すべてを取れたらもちろんいいが、どれかを優先しなくてはいけないことのほうが多い。その優先順位は家庭によって異なるだろうが、改めてきちんと話し合い、考えたことがあるだろうか? 誠さんの言葉に気づかされることは多い。

高い保育料でも納得できる教育要素があった

 誠さんと里香さんは、子どもが生まれてから新しい土地に引っ越したばかり。地域の友人が少なかったため、集まる情報には限りがあったが、夫婦で役所の担当部署を訪問して話を聞いたり、認証、認可外園に足を運んだりした。

 「役所に何度か行ったときに得られた情報は、実は不安になることばかりでした。入園の競争率が高いとか、所得が高いと不利だとか。それに、ママ友も同じ地域にいるとライバルになってしまうこともあり、参考になる情報はあまりない印象でした。ネットで調べて足を運ぶことのほうが多かったですね」と、里香さん。

 保育園を選ぶ際に、小西夫妻が重視していたのは、保育の質と安全面。保育園での事故などが報道されるようになっていた時期で、その点は説明会などでもよく聞いていたという。施設やスタッフの安全対策ももちろんだが、日常の清潔さなども確認していた。

 「妥協すれば、どこかしらには入れるのかもしれませんが、子どもの安全の確保は絶対に譲らない姿勢が大事だと感じました。それに、見学していた認証園はどこも清潔な印象でしたが、私たちが見た認可園は衛生的に疑問を感じる点がたくさんありました。器具の整理ができていなかったり、園の出入り口に巨大なポリバケツが置いてあったり……」