おたふく風邪(流行性耳下腺炎)とは、ムンプスウイルスの感染によって起こる病気で、耳の下の耳下腺や、顎の下の顎下腺などが炎症を起こして「おたふく」のように顔が腫れることが多いためこう呼ばれています。
 おたふく風邪自体は軽症で済む場合が多いため、「ほっぺが腫れるだけの病気」と軽く思われがちですが、実は髄膜炎や難聴といった重い合併症を起こすことがあり、「子どもなら誰でもかかるもの」とは決して侮れない病気です。
 おたふく風邪の基本知識や重い合併症についてのお話を、あかちゃんとこどものクリニック院長の田中秀朋医師に伺いました。また記事の後半では、「知ろう小児医療守ろう子ども達の会」の阿真京子さんと復職を控えたワーママ達の集まりに参加し、そこで聞いてきた不安の声と、実際に子どものおたふく風邪を経験した先輩デュアラー達のアドバイスを紹介します。

 水ぼうそう(水痘)は2014年秋に定期接種化されましたが、おたふく風邪は任意接種のため、接種率は30%程度にとどまっています。しかし、全員が2回の任意接種で予防してほしい病気です。まずは、田中秀朋医師による解説をお届けします。

3歳~小学生の感染が多い。流行年には年間100万人も感染

 おたふく風邪は、せきなどによる飛沫感染か、唾液などによる接触感染でうつります。空気感染する水ぼうそうほど感染力は強くなく、気を付ければうつらないで済む場合もありますが、集団生活では流行しやすいのでワクチンで予防することが大切です。

 4年に1度の周期で流行が起きていて、多い年では年間100万人がかかると言われています。最近では2014年に流行が見られました。

 3歳から学童期(小学生)までの罹患が最も多く、2歳までの子どもはかかっても不顕性感染といって症状が出ずに終わることが多いようです。