前回の記事「子どもに旅で「百聞は一見にしかず」を体験させる」で、「旅育」のメリットなどについてお伝えしました。旅育と聞くと、何か特別なプログラムや体験をさせなくては……と思う方もいるかもしれません。でもプログラムはあくまで旅育のツール。本当の学びとは、旅の要所要所で親が子どもにどのように接するか、というところにあります。今回は旅の準備段階における具体的な子どもへの働きかけ方についてお伝えします。

親が意識するだけで、いつもの旅が学びの場に

 こんにちは。旅行ジャーナリストの村田和子です。

 最近は、旅行会社などから子ども向けの体験型プログラムがたくさん出てますね。ただ、旅育の視点からすれば、単にそれらに参加させるだけでは十分と言えません。

 旅の計画や道中、あるいは旅から帰った後など様々なタイミングで、親が「生きる力を育む」ことを意識して子どもに働きかけることが重要となります。それによって、いつもの旅が学びの旅へと変わるのです

 家族旅行で学びの機会を積極的に得るために、私は「親子の旅育メソッド」を提唱しています。生きる力を「自己信頼力」「コミュニケーション力」「知恵を育む力」の3つと定義。「自分を愛し認めること、他者を理解し協調すること、経験から学び新たなことを創造できること」を目指し、私自身の経験から、親が旅で具体的にできることをメソッド化しました。

 「旅」は形が無く、見たり触れたりすることができません。選択肢も無限にある旅の計画や準備では、想像力や判断力が必要となり、絶好の旅育の機会となります。

 今回はそんな旅行に出る前の段階にフォーカスし、子どもの年齢に応じた旅育のヒントを紹介します。

移動中も旅の話をしたり、一緒に遊ぶことで親子の絆が深まる
移動中も旅の話をしたり、一緒に遊ぶことで親子の絆が深まる