2014年10月に定期接種化。水ぼうそうはワクチンで防ごう

 予防接種先進国のアメリカでは、水ぼうそうワクチンは1996年に定期接種化され、1999年から全州で小学校入学時にワクチン接種を要求しています。こうした政策で、水ぼうそうの流行はほとんど見られません。

 日本でも、2014年10月にようやく定期接種化(2回接種)され、1~2歳の子どもは無料で受けることができるようになりました。 ※経過措置として、2015年3月末までに限り、3~4歳児も1回無料で受けられます。ただし、すでに水ぼうそうにかかった人や任意接種で受けたことがある人は対象外。

 未接種のまま対象年齢を過ぎてしまったお子さんはもちろん、すでに1回接種している人も自費で2回目を受けることをお勧めします。1回接種だと20%前後の人が感染しますが(感染しても軽症で済む)、2回接種すれば流行を防げるとされています。

 空気感染するため、いつどこでうつるか分からない病気です。1歳になったらすぐに1回目を接種し、3カ月あけたらすぐに2回目の接種が望ましいです。接種対象年齢に満たない0歳児や、免疫不全などの持病でワクチンが打つことができない人に水ぼうそうをうつさないためにも、周りにいる人達ができるだけ多くワクチンを接種して病気を流行させないことが大切です。

 お母さんが水ぼうそうの免疫を持っていない場合、大人は重症化しやすく、激しい痛みを伴い、ときには入院することもあります。お子さんが水ぼうそうになり、ご両親に水ぼうそうの罹患歴がなければ、72時間以内にワクチンを打つことをお勧めします。発症を防いだり、発症したとしても重症化を防いだりすることができます。

「感染したほうがしっかり免疫がつく」という考えは非常に危険

 「免疫をしっかりつけたいから」と、発症したお友達と遊ばせてわざとうつしてもらう人がいると聞きますが、大変危険です。2回のワクチン接種で感染や重症化を防げるのに、しっかりと免疫を獲得するために子どもの命を危険にさらしますか? その子が新たな感染源となり他の人にうつしてしまう可能性だってあります。

 治癒後も水痘ウイルスは知覚神経内に残るため、大人になってから免疫力が低下したときに、帯状疱疹という形で再度発症することがあります。帯状疱疹を防ぐためにも、ワクチンで免疫をつけるのが一番安全です。

 任意接種で接種費用が自己負担だったころの接種率は30%程度でしたが、定期接種化されたことで90%を超えてくるのではないかと期待しています。ワクチン接種率が95%を超えると、その病気は流行しないと考えられています。全員がワクチンを接種して、巷に流行させないことが大切です。

田中秀朋
東京医科歯科大学医学部卒業。千葉市立海浜病院小児科、東京都立母子保健院未熟児新生児科、川口市立医療センター新生児集中治療科などを経て2007年に「あかちゃんとこどものクリニック」を開業。日本小児科学会認定小児科専門医。

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