時間単位で増える赤い発疹が特徴。ほとんど体幹から現れる
感染すると、約14日間の潜伏期の後、最初は虫刺されのような発疹が体に出現します。おなかや背中といった体幹や首や顔、頭皮から現れるのが特徴で、手足から出ることはまれです。
短時間で増えるかどうかが見分けのポイントです。水ぼうそうは時間単位で発疹が増えるので、半日前、1日前と比べて発疹の数が増えていれば可能性は大です。ただし、ワクチンを打って免疫がついていると水疱を伴わず、軽く済むこともあります。
水痘の発疹例。紅斑、丘疹、水疱が混在している。『水痘・帯状疱疹のすべて』(メジカルビュー)2章「水痘・帯状疱疹を知る・診る」伊藤正寛著 P103より
数日のうちに全身に次々と時間差で発疹が現れるので、各段階の発疹が入り混じった状態になります。発疹はかゆみをともないます。
発疹のほか、発熱をともなうこともあります。水ぼうそうで一部の解熱剤を使うと重い脳症を引き起こすことがあるので、解熱剤の使用は医師に相談してください。
水疱を掻きむしってしまうと、とびひ(伝染性膿痂疹)になったり、アトピー性皮膚炎の症状が悪化することがあります。
健康な子どもなら、多くの人が軽く済みますが、免疫不全の病気を持つ人は肺炎などを合併して生死に関わることもあるので注意が必要です。
発疹が出る前日からかさぶたになるまでは人にうつる!
水ぼうそうの潜伏期間は約2週間。発疹が出る前日から、すべての発疹が褐色のかさぶたになるまでの約1週間は、ウイルスを体外に放出するので人にうつす可能性があります。この期間は、外部との接触を避け、園や学校も出席停止です。すべての発疹が褐色のかさぶたになったら登園・登校できます。
きょうだいが水ぼうそうにかかっても、本人に発疹が認められなければ、園や学校を休ませる必要はないと思います。しかし、きょうだいの発疹が出現したその日か前日から数えて、ちょうど14日間後にきょうだいが発症するケースが非常に多いので、気をつけて観察してください。
受診の際には事前に病院に電話を入れて、水ぼうそうの可能性があることを伝えます。当院では、入り口を分けて、隔離室で待機・診察を行っています。
水ぼうそうには治療薬があります。体内のウイルス増殖を抑えるので、早い段階で治療を開始すれば、発疹が少なくなったり、有熱期間が短くなったりします。病状によって、抗ウイルス剤やかゆみ止めの外用薬、内服薬などが処方されます。
皮膚は清潔にして、掻かせないことが肝心。体が温まるとかゆみが増すので、浴槽には入らず、シャワーにしましょう。