水痘(水ぼうそう)は「小さいうちにかかっておいたほうがいい」「発疹しても軽く済むから」と誤解されがちですが、実は日本で毎年約100万人がかかり、うち約4000人が重症化して入院、約20人が死亡するという病気です。とはいえ、2回のワクチンを接種すれば感染も重症化も防ぐことができます。
 水ぼうそうの基本知識やワクチンの重要性について、あかちゃんとこどものクリニック院長の田中秀朋医師にお話を伺いました。また記事の後半では、「知ろう小児医療守ろう子ども達の会」の代表・阿真京子さんと復職を控えたワーママ達の集まりに参加し、そこで聞いてきた不安の声と、実際に子どもの水ぼうそうを経験した先輩デュアラー達のアドバイスを紹介します。

 水痘ワクチンは2014年10月に定期接種化(2回接種)され、対象となる1~2歳の子どもは無料で受けられるようになりました(0歳児は定期接種対象外)。田中秀朋医師による解説をお届けします。

患者の8割が5歳未満。感染力が強くきょうだい間感染は避けられない

 水ぼうそうは「春先に流行する病気」と思われていましたが、今では季節を問わず、1年を通じて流行が見られます。園や学校などの集団生活では、ときに大流行することがあります。

 発症する患者の80%以上が5歳未満で、特に1~2歳に集中しています。早くから保育園に通っている子は0歳児でもかかることがあります。

 水ぼうそうは「水痘帯状疱疹ウイルス」によって起こる病気です。主な感染経路は、くしゃみやせきなど唾液からの「飛沫感染」、手すりやタオルなどについたウイルスを触ることでの「接触感染」、空気中に漂うウイルスを吸い込むことでの「空気感染」があります。

 発症者がその場にいなくても、発症者が過ごした部屋に30分以内に入れば、空気中に浮遊したウイルスを吸い込んでうつることもあります。患者と直接接触しなくてもうつるため、どこでもらってもおかしくない病気なのです。