元英語落ちこぼれにして現在は通訳者、英語を使った子育てもしている川合亮平さんが、英語学習や英語圏の子育て事情をレポートするこの連載、今回は川合さんがこれまで多くの社会人に教えてきた経験を踏まえ、ワーキングマザーとファーザーのための具体的な英語学習法を紹介します。

 こんにちは! 川合亮平です。

 英会話業界の繁忙期は一般的に年に3回訪れます。いつだと思いますか? 正解は、1月(新年を迎え、気持ちが改まるのでしょうか)、4月(新年度を迎え、何かをスタートする気分になるのでしょうか)、そして、9月(夏に海外旅行に行って、英語を学ぶモチベーションが高まるのでしょう)。この時期、電車などでは、英会話学校の中吊り広告がほかの月よりも多くなっているのです。

 さて、昨年末に2回に分けて公開した英語の同時通訳者・翻訳者の枝廣淳子さんとの対談記事の前編「通訳者の私が子どもに英語を教えなかった理由」・後編「子どもじゃない、親こそ英語を始めなければ」とも、おかげさまで多くの方に読んでいただき、改めて英語への関心の高さを感じました。

 上記の記事のメッセージの1つは、「ワーキングマザー・ファーザーこそ、英語学習をしよう!」というものでした。そこで今回の記事では、親のための英語学習について、僕がこれまで企業英語研修などで得た具体的ノウハウをシェアしたいと思います。

ステップ1:英語が上達する仕組みは「大量に触れること」

 学校で英語の勉強と言えば、基本的には単語や構文の暗記中心で、それができればテストの点数が取れるような仕組みになっていたと思います(「思います」というのは、僕は学校の英語は大げさでなく一切勉強せずにずっと赤点だったため、想像するしかないのです)。

 しかし、実生活で英語が使える能力と暗記した量は、厳密には比例しません。英語が使える能力は、英語を使った量に比例します。点を取るための勉強では話せるようにはならないと、知ることが重要です。

 英語が上達する過程は、楽器やスポーツが上達する過程ととてもよく似ています。ピアノの上達には理論の理解より実際の練習が、柔道の上達にも技の名前を覚えるより実際の練習がそれぞれ一番有効なように、英語が上達するためには、英語を実際に使った量がものを言います。

 身になる英語学習のポイントは、「いかに効率よく短時間にたくさんの単語や構文を覚えるか」では決してなく、「いかにたくさんの英語に集中して触れることができるか」なのです。両者の発想は真逆です。 効率的で時短的な英語学習のアプローチはむしろ上達を遠ざけていると知ることが、上達の一歩とさえ言えます。