これから子どもを保育園に入れようと思っているママ&パパが抱きがちな疑問を、「保育園を考える親の会」代表の普光院亜紀さんに答えてもらいました。前編「保育はやっぱり「認可園」が一番か?」に続く後編は、公立と私立の認可園の違いについての考え方です。

Q3. 「保育園を考える親の会」は認可の私立園が増えていることに対して、どのようにお考えですか? 私立園の特徴もふまえて教えてください。

A3. 私立園は個性が豊かで、研究熱心な園では保育の質が特に高いところも見られます。また、長年にわたり地域に根づいて愛されている園もたくさんあります。私立には私立の良さがあるのです。

 しかし、民営化がどんどん進んで、公設公営の公立保育園が無くなってしまいそうな自治体を見ると、「これでいいのだろうか」とも思います。市町村が直接運営する公営保育園は、市町村の子ども施策の手足となり目や耳となるものだと思うからです。市町村が保育現場の問題を吸い上げて、地域の子どもや家庭のニーズを捉えた子ども施策を行うことが、今とても重要になっています。子どもの貧困問題や児童虐待などの問題が起こっている今だからこそ、最も強力な子育て支援機関である認可保育園を拡充し、その核として公設公営園を残すべきだと言えるでしょう。

 自治体によっては公設公営の保育園の価値をしっかりと位置づけているところもあります。例えば、神奈川県相模原市は民営化に当たって、残る公設公営の保育園を各地域の子育て支援拠点として活用していくことを明言しています。

公設公営の保育園、民営化は保育士不足に拍車をかける

 保育士不足となっている今、公設公営園の民営化を行うのは逆効果ではないかと私は考えます。給与などの待遇が安定している公設公営園を目指す保育士志望者は多いと思うのですが、その受け皿を減らし、せっかくのベテラン公立保育士を他部門に回してしまうのはもったいないです。一方、公立園を受託した民間法人は、保育士の取り合い合戦に参入しなければならず、ますます保育士不足に拍車をかけるでしょう。

 この意味では、公設公営園の人材育成機関としての役割も大きいと思います。保育現場で経験を積んだ職員が、認可外保育施設の巡回指導に従事しているケースも見られます。今後、小規模保育や家庭的保育などが増えて保育は多様化していきますから、これらの保育施設を指導したり支援したりすることも、市町村の重要な役割になると思います。